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□一度だけで構いません
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今日こそは呼んでくれるはず。
たぶん、呼んでくれますよね。
いや、絶対に呼んでくれます。
淡い期待と希望を胸に教員室のドアを開ける。
ーーーーーー
「お前の相手をしてやれるほど俺は暇じゃないんだ」
「...またですか」
相手に聞こえるように長い息を吐く。
私の期待と希望は、彼の発言によりあっさりと打ちのめされてしまった。
「......烏間先生」
今日で何日目ですか?
いい加減にして下さらないと、私だって怒りますよ。
「何の話だ?」
「...何回も言わせないでください」
私の名前を呼んでください。
お前や奴ではなく『殺せんせー』と呼んでください。
「...名前なんて別に何でもいいだろ」
「よくありません!!」
教員室に響き渡る私の声。
自分でも驚くほど大声が出てしまった。
「......よくありませんよ」
私はあなたに名前を呼ばれたいんです。
あなたに呼ばれる事に意味がある。
あなたに呼ばれる事に価値がある。
だから、一度だけで構いませんから......
「『殺せんせー』と呼んでくれませんか......」