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□また会おう
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「...松永」

何でテメェが此処にいやがる。



「おや、右目か」

随分遅かったではないか。
あまり客人を待たせるものではないよ。



「...誰が客人だ」

この不法侵入者が。
此処は奥州で、テメェがいるのは俺の部屋だ。



「そもそもだ、どうやって入ってきやがったんだ」


「ふはは、竜の右目ともあろう者が随分おかしな事を聞くのだな」

門から入ってきたに決まってるではないか。



「門には見張りの兵達がいたはずだ」


「はて、そのような者達は見かけなかったが」

卿の勘違いではないのかね。



「松永......テメェ」

このクズ野郎が。
ふざけた事ぬかすんじゃねぇ。



「伊達軍の副将がそう怒りを露にするものではないよ」

怒りをおぼえたときこそ冷静になれ。
卿が主に言った言葉であろう。



「うるせぇ、テメェに諭される義理はねぇ」


「全く...そう敵意を剥き出しにされてはろくに会話もできないではないか」


「はっ、それは好都合だ」

俺はテメェと会話する気なんか微塵もねぇんだからな。



「はぁ...仕方がないね」

私も気分をそがれてしまった。
今日は引き上げる事にしよう。



「また会おう、竜の右目」

ニヒルな笑みを浮かべた松永。
かと思えば次の瞬間には奴の姿は綺麗さっぱり消えていた。



「...何しにきたんだ、あいつは」

松永が去り静寂を取り戻した室内。
先程までの怒りも徐々に収まりつつあった。



「また会おう......か」

奴が去り際に告げた再開の約束。
自然と口角がつり上がるのが分かる。



「来れるもんなら来てみやがれ」

次は容赦なくテメェの首をたたっ切る。
覚悟しとけ、松永久秀。

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