Cuore Luna
□第三章 使命
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四年前、ソーマを手にしたばかりの頃の、夕暮れ時のこと。
ヘンゼラの外れでソーマを使う練習をしていたタンジェリーナは、魔物に襲われ大怪我をした。
まだソーマを武具解放したばかりでまともに扱えていなかった。
そのため、不意打ちにはとてもじゃないが対処できなかったのだ。
その時助けてくれた男――ガラドは、タンジェリーナの元に駆けつけ、一人で魔物を倒し、
「おい、嬢ちゃん! しっかりしろ!」
ガラドは必死に声をかけながら、回復術を駆使してタンジェリーナの傷の手当てをした。
不思議とタンジェリーナは安堵を感じて、辛うじて掴んでいた意識を手放した。
そして気が付くと、タンジェリーナはヘンゼラの家に運び込まれていた。
母が心配そうに覗き込んでいたのを、よく覚えている。
一番重い一撃をまともに受けた背中。
その傷だけはしっかりと跡が残ってしまったが、それを除けば完璧に治療されていた。
ガラドは礼も受け取らずに、すぐにどこかに去ってしまったらしかった。
「…………」
タンジェリーナは歯噛みした。