REBORN!dream

□一
1ページ/1ページ


フワフワ、フワフワ。

何もかもフワフワして

何もかも投げ出して

フワフワ、フワフワ。


ー…





ジリリリリリッ

ガシャッ

ベッドの横にセットしてある目覚まし時計を力任せに止める。否、叩く。

ガシャン

案の定壊れた。

そろそろ壊した時計の数でギネスに載るんじゃないかな。

目覚まし時計を世界一壊した少女!

そんなの嬉しくないよ

まぁそんな馬鹿げた話をする暇じゃないな

今日は九代目から呼ばれている。
なんせ

僕の命を救った救世主なんだから。










僕の家は財力に恵まれた大富豪。生まれつき"特別"な"なにか"を持っていた。

朝から晩まで遊び狂っていた両親とは、あまり会ったことがなかった。

だから、他の家でもそうなんだなっと勝手に思いつけていた。
僕は可哀想じゃないと。

兄弟もいなく、召使い達に囲まれ何一つ不自由無く暮らせていた。
が、それと同時に
"なにか"がなくなっていった





僕の8才の誕生日。
父様と母様が帰ってきて、プレゼントを沢山貰った。
その時、初めて家族の温もりを感じた

「ありがとう、母様、父様」

父様と母様は照れくさそうに笑っていた。

幸せだったな。



この時までは








楽しい楽しい誕生日会が終わった後、事件は起こった。

僕は父様や母様にお礼の手紙を書こうと思って自室に居た。

召使いには部屋から出る様言っておいて
一人、紙と睨めっこをしていた。
生まれて一度も親に手紙を書いた事が無いので、内容はどんな物がよいか考えていたが一向にペンが進む気配がない。

召使いにアドバイスを貰おうと
部屋を出た。
出ずにそのまま悩んでいれば良かったかもしれない。


目の前に広がった光景は
もう誰だか分からない程無惨な姿で血を流し倒れている召使い達。廊下のカーペットや壁は赤い血で塗りつくされていた。

その光景は地獄絵図の様に感じ取れた。


もう屋敷に人の気配はなかった。父様も母様も何処にも見当たらなくて
僕一人になってしまった。

一枚の手紙すら書けず
一枚の手紙すら渡せず

その手紙は紙の役目を果たせず
真っ赤に染まり、朽ちた。

この手紙の様に僕も朽ちればいい

誰にも知られずこの家を燃やして存在を消すんだ。

そう決断した時ー…


「あ?何だコイツ」


知らない男の人がナイフを持って僕の方を見ていた。

「チッまだいたのかよ」

男の人は僕の方へ向かってナイフを投げた。

僕はナイフに当たって死んだ。

でも痛みは無い。

死ぬ時ってこんな感じなんだなぁ。


「ぐぁ"!!」

死んだ筈、死んだ筈なのに


僕は生きていた。


代わりに目の前にいた男の人では無く、お爺さんがいた。


「大丈夫かね、君」

お爺さんは優しく笑った。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ