謎のプリンス

□苦しみ
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校長先生ががセブの私室を去ってからどれ程の時間が経っただろう……

私とセブはどちらとも話すことをせず長い間、沈黙の時間が流れた。


その沈黙を先に破ったのはセブだ。


「我輩が死喰い人だったことはわかっておろう。
今は不死鳥の騎士団に入っていることも」


私はセブの方に向き直ると、大きく頷いて見せた。


「我輩は闇の帝王が復活してからは二重スパイをやっている。
つまり、騎士団には闇の帝王の動きを教え、闇の帝王には騎士団の事を告げている」



『とても、危険じゃないですか!
何故そのような……』


「闇の帝王を殺す唯一の方法だからだ。
ダンブルドアは我輩に自身を殺害させ、闇の帝王の信頼を勝ち得ようとしている。」


「そうすれば、我輩は完全に闇の帝王に信頼されると……
闇の帝王には我輩がホグワーツ陣営を裏切ったと、そう見えるわけだ」


私はセブからダンブルドアを殺さなければならない理由を詳しく聞いて、やっと理解ができた。


「いずれにせよ、我輩は闇の帝王の元へと下らねばならぬ……
勿論、今すぐというわけではない。
時が来れば……」


私はセブのその一言がどれだけ重みのあるものかを実感し、鼻の奥がつーんとした。

つまり、セブは必ず校長を殺害しなければならない。
そうすれば、今まで必死に守ってきたホグワーツの生徒や先生方から裏切りと取られるだろう。

そして、自分が守りたいものと敵対関係になり、殺されてもおかしくない……


すると、セブの薬品でかさついた手が私の頬に触れてきた。


「名前……泣くな。
我輩は君だけが本当の理由を知っていてくれれば構わない。
君だけが我輩を信じてくれればそれで…」


私は知らず知らずの間に涙を流していた
セブは私の涙を拭いながらそう告げる。


(私だけが知っていたって……
意味ない…)


私はそれを伝えるようにセブの瞳を見つめるが、セブは私の気持ちを理解しているかのように首を横に振る……


私は息が詰まる思いをした。
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