After Story

□姿の見えぬ報告
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私とセブが夫婦となって数週間がたち、この生活にも慣れてきた頃。


私にはどうしても行きたい場所があった。



『セブ……今日、時間ありますか?』


静かな朝食の席で日刊予言者新聞を片手に紅茶のカップを持っているセブにそう訪ねる。


キョトンとしたセブの目は私の顔を凝視した。



「あぁ予定はないがどうかしたかね?」


『私、行きたいところがあって……』



何処かなんて聞かれても言えない。
それを答えればセブは来てくれないような気がしたから。


「よかろう。
仕度をしてきなさい」


私はその返答を聞くと寝室へと駆け上がり、身仕度を始めた。



「用意できたかね?
して、何処に行きたいのだ?」



私が用意を終えて玄関へと向かうとそこにはいつもの黒装束を身に纏ったセブが立っていた。


(マグル街だから着替えたほうが良いかしら?)


『セブ。これに着替えてください』


私は念のためにクローゼットから出しておいたスーツをセブに渡した。
訝しむ視線を感じるのは気のせいだろうか?



『たまにはスーツも良いでしょ?』



渋々と言いたげな目線を最後まで私に送りながらセブは着替えにいくと、ものの数分で戻ってきた。



(カッコいい……)


「どうした?
行かないのか?」


セブのスーツ姿は新鮮で、見とれていたなんて恥ずかしくて言えるはずもなかった。


私も玄関へといくと外へ出て、そのまま姿くらましをした。




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