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□耳いじり
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※細かいこと気にしたら負け。
ふわふわ、ぐしゃぐしゃ、なでなで。
「ううう、もうやめてくださいよう…」
与えられるもどかしい刺激とくすぐったさに身をよじる。
涙目で目の前で私の頭を触り続けるサイさんを見上げるも、その目は真剣でやめてくれそうになかった。
「すげぇなこれ。本物なんだよな?」
「だ、だからそうですってば…うー…」
「痛覚は?」
「もちろんありますよ……あ、試さないでくださいね!」
「………」
「いたっ!ひ、引っ張らないで…!」
どうやら彼は私の耳が気になって仕方ないらしい。
人間とは違う、動物のようなそれが。興味をもってもらえたのが嬉しくて、触っていいか聞かれたときにあっさり承諾してしまったのがいけなかった。かれこれ数十分は触られている。
話しかけてもらえたのは嬉しいし、嫌なわけではない。けれどこうも長時間触られていると…。
「あ、あの…サイさん、そろそろ、触るのやめてください…なんか、へんな感じがするんです…」
「はぁ?どんなだよ?」
「や、あっ」
「、」
サイさんが怪訝そうに耳を少し強く引っ張った瞬間、なんともいえない感覚が走って思わず高い声が漏れた。
サイさんは動きをピタリと止め、少し驚いている。
けれどそれ以上に驚いているのは私だ。
それは今までに感じたことのない、妙な感覚。
体が熱くなって、何だか気分がフワフワして、ムズムズするというか…。だんだん足に力が入らなくなってきた。
ほんとにもうやめてほしい。
その気持ちを込めて見上げると、サイさんは何故か怪しげな笑みを口元に浮かべていた。
…嫌な予感しかしないんですが。
「へええ…」
「う…。あのぉ…」
「なぁ、これ、限界まで弄り倒したらどうなっちまうんだろうな?」
「え」
「すっげぇ気になんだけど。試してみるか?」
「や、えっと、あの…!」
提案しながらも手は終始耳をいじくりまわしている。これはあれだ、最初から私に拒否権なんてないんだきっと…!
サイさんの瞳に、絶望に染まった私の顔が写った………
「も、もう勘弁してください…あっ、はぁうっ…!」
「サイくん、そろそろやめてあげなよ…」
かくしてこの一方的な耳いじめは、キリノさんが見かねて止めに入ってくれるまで続いたのだった。
おわれ。
Uはやってないんですが一度ルシェ族の女の子で書きたくて…
元の設定は忘れてください。