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□依存
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豆腐メンタル、シリアス注意。
気づくのが遅かった、そう思うことはよくある。実際に今、私はどうしようもない後悔の波に襲われている。
「カガリくんは一人でも生きていけるもんね!」
喧嘩の最中、不意をついて出た言葉。
そんなことを言うつもりは微塵もなかったのに、その時の私は自分の孤独感からかそういうことを口走ってしまった。
そのあとすぐに、彼が傷付いたような顔をしたから、私ははっとした。
「ユメさんと一緒にいられなくなるのが、怖いんです」
私はなんてことを言ってしまったんだろう。
暗い瞳がだんだんと色を失っていくのをただ呆然と見ていた。
「一人は嫌です」
こんな状態の彼を、私は以前目にしたことがあった。
同じ班の仲間を失った時。もう彼が二度と刀を握ることはないんじゃないかと、そう見ている者に思わせるほどの墜ちっぷりだった。
そして今、彼をその時と同じ状態にしてしまったのは紛れもない私。
「いつもあなたを一人にしているのは僕のほうなのに、僕は……こんなの浅ましいですよね」
光のないほの暗い瞳はこっちを見ない。
私は何てことをしてしまったんだろうと、思わず涙が出た。
「ごめん、ごめんカガリくん」
「ユメさん」
「私、ひどいこと言った。本当にごめんね」
「いいんです、もう大丈夫です」
薄い体を抱きしめると、震えていた。
まるで壊れ物を扱うかのようにその手が私の背中にまわる。
「あなたが無事でそばに居てくれるなら、僕は…他に何も望みません」
虚ろに呟かれた言葉が文字通りのものであることはすぐに理解できた。だからとてもつらい。
願わくば、その瞳が濁りきることがないよう。