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□サムライは見た!
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「カガリくーん…」
がちゃ、と控えめに開けたカガリくんの部屋の扉。
なんとなくやることもなくて、暇だったから来てみたら留守だった。大方、またキリノと長話でもしてるんだろう。
せっかく来たってことで、仕方ないから待つことにして、ベッドに寝転がった。
「ん…カガリくんのにおいがする」
なんとはしにぽふんと枕に顔を埋めると、いつもの安心する匂いがする。
こうしていると、なんだか自分が変態になった気分。あくまで気分(ここ重要!)、だけど。
ついでに布団も被っちゃえ。
あ、結構いいかもこれ。
「……カガリくんに、ぎゅってされてるみたい………ふへへ…へ……」
次の瞬間にやにや笑ってる私の目に移ったのは、部屋のドアの前でこっちを興味深そうに見ているカガリくん。
一瞬固まって、すぐに枕をはね飛ばした。
「ちちち違!これは!ちがくて!!!」
いつから見てたんだろうか、声くらいかけてくれればよかったのに!ていうか勝手に人の部屋で枕の匂い嗅ぐって絶対変態女だと思われた!いや事実だけど!
「別に僕は…」
「気つかわないで、虚しくなるから」
「いえ、本当に気にしてません」
そう言うとカガリくんはふっと優しく笑って、単純な私はどきりとしてしまう。
「むしろ、ユメさんからの好意が伝わってきて嬉しいです」
……何でそういうことを真顔で言うのかな。
「でもやっぱり恥ずかしいよ…こんなことするの私だけじゃないかなぁ…」
「では僕も今度ユメさんの部屋で同じことをしますね」
「そういうことじゃないと思うな!?」