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□DRRR
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私はみょうじなまえだった。
多分誰にも信じてもらえないかもしれないが私は『大人』だった。
所謂前世の記憶というのか。
しかし私が覚えているのは私が「みょうじなまえだったこと」と「常識」や前世で覚えただろう「知識」。
それに加え「デュラララ!!」という小説の内容が頭にこべりついている。
『前の私』がどんな性格でどんな容姿だったのか、どんな友人と一緒にいたのか、恋人はいたのか、年はいくつなのか。
沢山の疑問が浮上する中でどうしてその『前の私』という記憶はないのに「デュラララ!!」という小説の記憶があるのか。
そして私は一つの仮説を立てた。
―――ここは『前の私』はいた所ではなく、その「デュラララ!!」の世界ではないか。
厨二病全開だがしょうがない。
私はそれ以外にもいくつか仮説を立ててみたがやはりこれが一番有り得ると私は思っていた。
まず『今の私』に『前の私』の記憶があること自体が普通ではないのだからそう考えてしまっても仕方ないと言える。
まだ生まれたばかりの赤ん坊が自我があり、しかも前世の記憶を持っている。
普通に有り得ない。
きっと誰も信じないだろうし、私自身も誰にも言うつもりはない。
でもここが「デュラララ!!」の世界ではないかという疑問が消えることもなく私がこの世界で生を受けてから3歳の時。
8歳上の姉と共に東京住まいの従兄弟の瀬川涼一の家を訪れ、池袋に観光しに行ったその時に見たんだ。
目の前を通り過ぎる『首無ライダー』を。
猫のようなヘルメットにライトをつけていない漆黒のバイク。
――――彼女だ。
そして私の中でここを「異世界」だと確定した。
従兄弟の涼一に聞いても彼も「あれは『首無ライダー』っていうだよ」なんて言っていたし。
まず『前の私』の所では『首無ライダー』は小説の架空の人間(妖精)でいるはずがないから。
ああ、これは関わるとめんどくさそうだな。
できれば傍観で
(まず今は原作軸のどこなんだ)
(できたら関わりたくないな)