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□REBORN
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私は死んだ。
いつものバイトの帰宅途中で誰かにつけられていることには気づいていた。
私が止めればそいつも止まっていたし、後ろを振り返れば隠れ、走ればそいつも走る。
これがストーカーか。
ストーカーにあっているというのに私は酷く冷静だった。
なんとなくだけど結構前からこういうことはあったし、特に気にすることでもないと思って無視していた。
しかし、今日はいつもと違っていた。
何か光るものをそのストーカーは所持していた。
少し怖くなった。
本能で危ないと脳が叫ぶ。
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ――――…っ!
だけどここは家からは少し離れていて電灯もない薄暗い道。
あぁ、どうしよう。
ここら辺りの地図は頭に入っていないのにめちゃくちゃに走っていたからか、ここの道を曲がると立ち止まりになっているなんて知らなかった。
「やっと…やっと…二人っきりだ……。もう…君をあんな男に近づかせない……。俺だけのもの…!」
頭がイカれてる。
これがアレだろ。最近流行っているいるという…やんでれっていうやつなんだろう。
デレな部分がないが…ということはただの病んでる人か。
ふむふむと全くこの場に相応しくないことを考えているが内心少し焦っている。
目の前に佇む男の目は虚ろになっており、手にはしっかりとナイフが握られているからなのだが。
ここはもっと「きゃー!!」や「やめてっ!来ないで!」と叫ぶべきなのだろうか。
今ちょっと空気がよめていないがそこはあまり気にしないでいただきたい。
「大丈夫だよ。君の死体は俺がずっと隣においておくよ…?」
あははと笑うネジが外れたストーカーはじりじりと私との距離を縮める。
「あんな男に君は渡さない」
ぐさり。そう音にして聞こえるほど勢いよく私の心臓に突き刺さった。
そして引き抜かれる感覚が自分でも分かった。
血が大量にどくどくと出ているのに気付いて、ごほっと思わず手を当てて咳をすると手に血がついていた。
あぁ、もうだめだな。
そんな諦めた言葉を口に出さないで崩れる体。
「ははは!これで君は永遠に俺のもの!!」
だんだんと意識が飛んでいくような感覚に本格的にダメだと感じた。
もうだめだ。瞼を下げてここから、お別れを。
母さん、父さん、兄さん。
今までありがとう。
でも最後に一つ。
まさかストーカーの言ってる男が兄さんだとは思わなかったよ。
この世界とのお別れを