your has side

□第一次試験 act.1
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―――――……ドーレ港。


「ふぁ……、やっと着いた。さてさて、ザバン市に行くにはどうしたら良いのかな?」

ドーレ港へ到着後、ルチアは身体を伸ばすとザバン市へ行くにはどうしたら良いのか調べながら、トコトコと港を歩いて回る。
すると、ちょうど"ザバン行き"と書いてあるバスが来たのでそれに乗ろうとバス停へ足を向ける………と。

――――……ドン。


「ってぇなっ!おい、そこのガキッ!!ぶつかって来たんだから謝れや、あぁっっ!!??」

「おいおい、大丈夫かよ?なぁなぁ、お嬢ちゃん。これから俺ら大事な試験なんだよ。もしこれで、試験ダメになったらどうするんだよ?」

「………すみませんでした。ちょっと、よそ見してたから」

そう言って、大げさに右腕を擦る男とそれを心配してみせる男2人。
そこまで強く当たっても居ないのだが、あまり面倒なことにしたくないのでとりあえず謝る事にしたルチアなのだが………、


「だーかーらっ!んなんじゃあ、意味がねぇんだよ。これから俺らはハンター試験に行くんだよ」

「そうそう、だからよ。どうせなら……、そうだな。可愛い顔してるし、まだガキだけど少しくらい俺らを楽しませてくれたって良いんじゃねぇの?」

男達はいやらしい笑みを浮かべながら、ルチアの腕を引っ張り人通りの少ない路地へと入る。そして、彼女の身体を壁に押し付けようとしたのだが……。
それが逆に、ルチア のスイッチを入れる事になる。


「あ〜ぁ。……ねぇ、お兄さん達さっきハンター試験受けに行くって言ってたよね?こんな所で道草くってて良いの?あと次いでに。あたしもハンター試験受けに行くから、どいて欲しいんだよね」

「あ?おい、ガキ。口の聞き方には気を付けろよ?これから何されるのか分かって言ってんのかよ」

「そうそう、大人しくしとくもんだぜ?普通はよ」

「………普通は、ね。でもさ、今バス停に停まってるバスってザバン行きのやつでしょ?あれに乗らなくて良いのかなって思って。さっきも言ったけど、あたしも受けるから早く試験会場に行きたいんだよね」

「けっ、これだから新人はダメなんだよな。あのバスはザバン市になんか行かねぇよ。……それに、まずお嬢ちゃんは俺らに遊ばれて試験も受けられねぇようになるんだからよ!!」


男のその言葉を皮切りに、1人の手はルチアの肩を固定しようと。もう1人の手は上着に手を掛けようとするのだが………。
そうする前に、男達の目の前から彼女が居なくなっていた。

「ッッ!?どこに行きやがった!!??」

「こっちだよ、バァカ」

「「ひっっ!!??」」


……ルチアは男達の背後に回ると、どこから出したのか小さな果物ナイフを2つ、男達の首筋にそれぞれあてていた。


「………あんまり、ウザイ事しないでくれないかしら?そろそろ我慢の限界なんだよねぇ。って訳で、バイバイ」


それぞれにあてていたナイフの刃を引っ込め、そのまま男達の首筋に一発ずつ手刀をおくり気絶させる。………一瞬、獲物を狩り取る猫のような目に。……青紫色の瞳になったが一呼吸置き、押さえ込むと思いっきり蹴りを入れ路地から出てきながら愚痴をこぼす。


「んとに、危うくマジで殺るとこだったわ」

「………へぇ〜、なかなかやるね。あんた」

「っ、誰!?」
――――……全く、気配を感じなかった!!


背後からいきなりの声かけ。振り返りながら、相手との間合いをとる。
………そこに立っていたのは綺麗な銀髪に同じく綺麗な蒼眼の、自分と差ほど歳は変わらないであろう少年が面白いものを見たとでも言う様に好奇の目でルチアを見つめていた。

「あ〜、わりぃ。別に驚かせるつもりは無かったんだぜ?」

「はぁ。…………とりあえず、あなた誰?」

「オレ、キルア。君は?」

「あ、あたしはルチア。って、そうじゃなくて!さっきのっっ!!なんで、気配全然なかったのよ!?」

「突っ込むところ、そこかよ。うん、まぁ……臭いで分かるんじゃないの?オレら、同類だろ?」

「臭い?………あ」

キルアのその言葉に、ルチアもようやく気付く。
…………彼から自分と同じ、とても濃い"血"の臭いがしたから。


「わかった?」

「……うん。よぉく、分かった」

そう答えつつ、ルチアは何が気に食わないのか眉間に皺を寄せキルアを睨みつける。
……睨みつけると言っても、やはり男の子と女の子。キルアの方が背が高いため、下から睨みあげるような形である。


「………なんだよ」

「同類なのは、よく分かったけど。だからって、なんで気配消して来るかな?すっごい、ビックリしたんだけど」



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