your has side
□第一次試験 act.2
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「ふ〜ん、ここがザバン市か」
「なんていうか、怪しいお店でいっぱい」
「まぁ、ここら辺はそれでも有名だしな。……とりあえず、試験会場に行こうぜ」
ザバン市に着いたキルアとルチアは、立派な彫りを施された装飾品(ただし、あしらわれている宝石は偽物)を売る店や(本当かどうか疑わしい)占いをする店の前を通り過ぎ、先程電話で教えてもらったハンター試験会場前まで来ていた。
「……ルチア、ここが本当に試験会場って言われたんだよな?」
「うん、ここって教えてもらったよ。……なんか、色々不安だけど」
目の前には至って普通の定食屋さん。
誰がどう見たって、ここがあの超難関なハンター試験会場の入り口とは思わないだろう。
「うん、とりあえずキルア。お腹も空いたしここに入ろうよ。入ったら分かるでしょ」
「まぁ、確かに」
キルアの了承の言葉を聞くとルチアは、その定食屋のドアを開ける。
店内も至って普通の定食屋である。
「いらっしぇーい。お客さん、注文は?」
「えっと、ステーキ定食です」
なんとも独特の挨拶をしてきたおじさんの質問に、"ステーキ定食"と教わったとおりの返答を返す。と、その瞬間おじさんの目の色が変わった。
「焼き方は?」
「「弱火でじっくり」」
「あいよー。2人とも奥の部屋に入りな」
2人同時に、教わったとおりの合言葉……"弱火でじっくり"と答えるとすんなりと通してもらえた。そして、おじさんに言われた通り奥の部屋に入ったその瞬間……。
――――……、ガコン。ウィィィィ……ン。
「おぉ、動き出した。ほらねっ!やっぱり、ここ正解だったんだよ」
「……ルチア、お前もここが本当に試験会場に繋がってるか全然信じてなかっただろ」
「いえいえ、信じてましたよ。うん!! ほら、ご飯も出てるし試験会場に着く前に腹ごしらえしとこうよ。ね?」
本当はキルアの言う通り、全く信じていなかったルチアなのだが……。
それでもとりあえず、ちゃんと試験会場に行ける事が分かったため、ルチアは目の前に出ているそれはもう立派なステーキを食べる事に集中しだす。
そんな彼女をしばらくはジト目で見ていたキルアだが、自分もお腹が空いてきたので反対側の椅子に座り、目の前に広がる美味しそうなご飯を平らげる事に集中するのだった。
「ご馳走様でした。結構、美味しかったね。ね、キルア」
「そうだな。まぁ、普通のご飯って言うのをあんまり食える環境じゃなかったし」
「ん〜と、それはお家に居たらって事?」
「そうに決まってるじゃん。小さい頃から、毒に慣れてろだとか拷問に慣れてろだとかさ」
「あはは……、うん。さすがゾルディック家です。あたしは、毒に慣れろぐらいしか言われなかったからなぁ」
「毒に慣れるまでも、結構大変だけどな」
「うん、確かに」
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