your has side

□第一次試験 act.3
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 ――――……、どれくらい走っただろうか?時間に換算すればおそらく、4・5時間程度と言ったところだろうか。
いまだ、脱落者0名。ただ、ひたすらに受験者全員が試験官であるサトツを追い、このうす暗い地下通路を走り続けていた。


「あとどれくらい、走れば良いのかな?」

「まぁ……。サトツさんが止まるまでだと思うよ?」

「……ゴン。それ、そのままの答えだと思うぜ。オレ」

「うん。あたしも同意見だよ。キルア」

 ルチアのその呟きに、至って全うな答えを返すゴン。
そして、そんなゴンにつっ込みを入れるキルアにそれに同意するルチア。
この会話を普通に、走りながらしているのだから。しかも、息一つあげずに。
 他の受験者の中には、何人かは既に息をあげて走っている者が居るのにもかかわらずだ。
不意に後ろを振り向けば、自分達の後ろを走っていたレオリオが汗だくで、だいぶ息もあがった状態でなんとか着いて来ているという感じだった。


「大丈夫?」

 ゴンのその言葉に、大丈夫だと言う様に右手の親指を立てるレオリオ。
………だが、しばらく走ると少しずつスピードが無くなって、そして立ち止まる。
それに気付いたゴン・キルア・ルチアの3人も立ち止まり、後ろを振り返る。息をあげて下を向くレオリオに、ゴンが口を開き彼の名を呼ぶ。

「レオリオッ!!」

「……ゴン」

「ほっとけよ、遊びじゃないんだぜ。ゴン」

「うん……。キルアの言うとおりだよ、ゴン。今走ってる理由、忘れたの?」


 キルアとルチアの言葉を聞いて尚、ゴンは立ち止まったその場所から動こうとしなかった。……少し困ったような、心配したような 表情で。
そして、更に声をかけようと口を開きかけたその瞬間。

「ざけんなよ、絶対ハンターになったるんじゃー!! くそったらぁ〜!!」

「レオリオ……?」


 そう、いきなり叫びだして大事にしている荷物も置いたまま猛ダッシュしだすレオリオ。
少し前を走っていたクラピカのところまで近付いていくと、(もちろん叫びながら走っていたため)ただひたすらに前を向いて走っていた彼もそれに気付き、多少驚きながらレオリオの名前を呼んでいた。

「おー、すごいね。レオリオ」

「ルチア、お前な……。ま、いいや。おいゴン、ルチア。早くしないと置いてかれるぜ」

 そう言って、自分よりも後ろにいたゴンとルチアの方を振り返る……と。ちょうど、ゴンが持っていた釣竿でレオリオの荷物を取るところだった。


「おー、かっこいー」

「キルアに同意っ!! ゴン、後でやらせてね」

 などと会話を再開しながらまた、このうす暗い地下通路の中サトツを追いかけて走り出す3人だった。



――――……、更に走り続けること1時間半。

「ん〜……。レオリオのダッシュから多分、1時間とちょっとは走ってると思うんだけどなぁ。まだ全然、到着する気配ないね」

「そうだね。でも、まだ走れるよね。ルチアもキルアも」

「もちろん。まだまだ行けますとも!」

「オレも同じ」

 ルチアの言葉に、キルアも短くそう答え、前の方を向き直ると真っ直ぐ進んでいた道にいきなり階段が現われた。
……どうやら、今度はこの階段を上らなければいけないらしい。何人かの受験者がその階段をあおり見て愕然とする中、試験官であるサトツも一度後ろを振り返ると、"ペースをあげる"と話し、更にスピードをあげて急な階段をまるで歩くように進んでいく。


 階段を更に上ること1時間。地下通路の中では脱落者1名と言う状態だったのだが、この急な階段を上ることで途中途中、走ることを諦め階段に横たわる脱落者が目立ってきていた。


「階段上り終わるのは、あともうちょっとで終了かなぁ?」

「うん、あと少しだとはオレも思う。……て言うか、いつの間にか一番前に来ちゃったね」

「そ言えば、そうだね。ん〜……、だって他の皆がね。ね?キルア」

「うん。だって、ペース遅いんだもん。こんなんじゃ、逆に疲れちゃうよなー」

「そう、思ってるのはさすがにキルアだけだと思うよ?あ、あたしはこのペースで行ってくれれば全然、大丈夫だけどね」


 全く息があがっていないキルアにルチア。そして、その隣りで少し息があがっているゴン。いまだに、ただひたすら階段を駆け上がるのみである。



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