your has side

□第二次試験
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 ――――……、長針が12時を指したその時。ゆっくりと建物のドアが開く。
 その瞬間、皆何が出てくるのか分からず、緊張した面持ちで構える。


 少しずつドアが開くにつれ、あの変なうなり声も大きくなる。そして、完全に開いた時。
そこに居たのは、スタイル抜群のお姉さんと……。その後ろに座る図体のとてつもなくデカイ男性の2人だった。


「うわぉ。なんか、アンマッチな二人組み」

「だからルチア、お前な……」

 相変わらずのルチアの発言である。まぁ、それに対するキルアのつっ込みも相変わらずなのだが。

「どぉ?おなかは大分、空いてきた?」

「聞いてのとおり。もー、ペコペコだよ」

「そんな訳で、二次試験は料理よ!! 美食ハンターのあたし達2人を満足させる食事を用意してちょうだい」

「(……ねぇ、キルア。この2人もちゃんとしたハンターなんだよね?)」

「(そうだろ?じゃないと、試験官はできないし)」

 などと、ルチア達が小声で会話をしている間も試験に関する細かい事が話されており、まずは図体もとい体格のいい男性、ブハラの試験を通過した者がもう一人の女性試験官、メンチの試験を受けられると言うものらしい。

 そして、ブハラの試験内容は“豚の丸焼き”。森林公園内に生息する豚ならば種類は問わないとの事。この言葉の後、“スタート”の掛け声で試験開始となり皆いっせいに公園の中へ駆け出していくのだった……。




「豚。居たは居たけども……。なんか、普通の豚と全然ちがうよね」

「……あぁ。鼻がやけにデカイよな、この豚」

 キルアとルチアの会話のとおり、今2人の目の前にいる豚はやけに鼻が大きくて、そして獰猛そうな種類だった。


「ま、とりあえず。ちゃちゃっと捕まえてあの試験官のところに持って行こうよ」

 そう言った後、豚目掛けてナイフを投げる。だがルチアの投げたそれは、見事にあの大きな鼻でかわされてしまい、地面に落ちる。
……挙句の果て、その攻撃で怒った豚とその群れに追い掛けられる始末である。

「この豚たち、やけに足速いんだけど。……と言いますか、あたし疲れてきた」

「疲れたって、ルチア。自分が攻撃して、追い掛けられてるんだろ」

「そりゃあ、そうなんだけど……。面倒くさくもなってきたし、そろそろトドメさそうかな」

「おい、ルチアッ」

 そう言っていきなり上空へ跳ぶルチア。そんな彼女に対し、声をかけるキルアだが止めようとしないのを見る限り、そこまで心配していないと言う事だろうか?……それはつまり、信頼しているからなのか。
上空へ跳んだルチアは、ちょうど豚の頭上まで来るとそのまま急降下。そして、足で思いっきり豚の頭を踏んづける。

 ………と、そのままノックアウトされてしまう豚。どうやら、頭部が弱点らしい。

「はい、終了。早くキルアも捕まえて試験官のとこに持って行こうよ」

「あぁ、わかってるよ」

 ルチアの言葉にそう返事をして、キルアも豚の頭に思いっきり手刀をお見舞いして倒す。
豚を倒した2人は、それを背に抱えて試験官の居る建物へ戻る。と、そこにはすでに多数の受験者たちがそれぞれ倒した豚を持って集まっていた。


「皆、同じ豚だし」

「って事は、ここに居る豚はこの種類って事なんだろ」

「……あの試験官、意地悪だ」

「なんで意地悪なの?ルチア」

「あ、ゴン。あのね……」

 などと、文句を言いながらも捕獲した豚を丸焼きにしてブハラの前へ持っていく。
ブハラの目の前には、丸焼きになった豚が山のように積まれているのだが……。その山はあっという間に無くなってしまった。

「…………あんだけの豚。全部食べれるってどういうお腹してるの?あの人」

「いや、ルチア。そこを真面目に考えてもさ」

「やっぱり、ハンターってすごい人達ばかりなんだね」

「ゴン、お前も……。いやまぁ確かに、すごいちゃすごいけど。ああはなりなくないけどな」


 周りに居る受験者はブハラの食べっぷりにただ唖然とする中、ルチア達はのん気にそんな会話を繰り広げていた。ブハラの料理審査“豚の丸焼き”70名が通過。続いてメンチの料理審査となった。

 二次試験後半、メンチの試験内容は“スシ”
もちろん、受験者の多くはそんな食べ物を知るはずもなく、皆困り果てていた。さすがにそれでは試験にならないので、どんな料理なのかどんな料理道具を使うのかなど大まかな物は準備してくれていた。



「ん〜……、“スシ”ねぇ。どんな料理なんだろう?」

「さぁ?あの試験官の話だけじゃ、ほとんど想像できないな」

 ゴン・キルア・ルチアの3人でメンチの試験内容について色々と話し合っていると、レオリオの大きな声が聞こえてくる。その声を聞いた瞬間、受験者全員走り出す。


「なんで、皆走り出したの?」

 そうボヤくルチアの言葉に、ため息を付きながら返事を返してくれたのはクラピカだった。

「スシに必要な食材を話したら、アイツはそれを大声で言ってしまったのだ」

「あぁ、なるほど」

 苦笑と共にそう返事を返し、ルチア達も魚を探し川へ行き捕獲するとまたそれを持って試験会場へ戻り、スシを作り始める。……が、大まかなヒントを貰っているのみである。果たして、スシと言う料理は一体どんな形をしている料理なのか。皆目、検討も付かないため皆それぞれに自分が思いつく限りのスシと言う料理を創作し、メンチの元へ持って行く。


 ……結果、惨敗。二次試験後半、メンチの料理審査“スシ”合格者なし。

「ちょっと、厳しくない?いくら、ちゃんとしたスシを作れなかったからって……」

「ルチア、落ち着けって」

「キルアの言うとおりだ。落ち着け、ルチア。今更そんな事を言ったって、試験結果が変わる事はないだろう」


 試験結果に不満を漏らすルチアをなだめる様にキルアとクラピカがそう話す。
まぁ、ルチアのようにこの試験結果に不満を持つ受験者は他にも居り、255番のNo.プレートを胸に付けた体格の良い男がメンチに向かい、文句を言うとそのまま向かって行く。


「あの人、死んじゃわない?」

「ルチアお前な、それを冷静に判断出来るんだったら、さっきみたいなのはやめろよな」

「そんなの分かってるよ、キルア。だから、殺気立ってるだけにしたでしょ?」





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