your has side

□第一次試験 act.3
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「結構、ハンター試験も楽勝かもな。つまんねーの」

「そう?あたしは、今のところまぁまぁ楽しんでるよ」

「キルアとルチアは、何でハンターになりたいの?」

 ゴンのその質問に、キルアとルチアは一瞬目を合わせると彼の質問に答えるため順番に口を開いた。


「別にハンターになんかなりたくないよ。ものすごい難関だって言われてるから、面白そうだと思っただけさ。でも、拍子抜けだな」

「あたしも、キルアと同じ……だけど拍子抜けは無しでね。別、ハンターなんかなりたくないけどもね。家で暇って言ってたら、ユイナ姉…あ、あたしのお姉ちゃんね。が、"暇つぶしに受けてきたら?"って言うから、受けに来ただけなんだよね」

 2人のその答えに、ゴンは顔色一つ変えずに"ふーん"と頷くと1つ追加するように再度、質問を投げかけてくる。

「そう言えばさ、会った時から思ってたんだけどルチアの目の色って、ちょっと独特だよね」

「……やっぱり、すぐ分かるものかな?この目の色」

「当たり前だろ?だって、その目の色してるのルチアの一族だけじゃん」

「へぇ〜、そうなんだ」

 ルチアの言葉に、そう返すキルア。そして、そんなキルアの言葉を聞いても対した驚きを見せないゴン。
ルチアも、周りに聞こえようが全く気にしないと言った風に、続けて口を開く。


「それはそうなんだけどさ。ん〜…、まぁ隠してても意味は無いし。あたしの一族の目。世界七大美色の1つなの……、4年前に虐殺されたクルタ族と同じ。興奮状態になると菖蒲色から紺菖蒲色になる目だから。まぁ、菖蒲色ってだけでもそれなりの価値にはなるらしいけど」

「じゃあ、クラピカは気付いてるかもね」

「……なんでだよ?ゴン」

「キルア、気付いてなかったの?クラピカの着てる服。クルタ族の民族衣装じゃない」

 ルチアの言葉に、多少ふてくされるキルアだったが、とりあえずゴンの疑問も解消されたため、今度は逆にルチア達がゴンになんでハンター試験を受けに来たのかの理由を聞きながら走っている……と、人工的な光ではない。自然の光が受験者達の目に映る。
 受験者の1人が"出口だ!!"と叫んだ瞬間、皆その光を目指すようにして走り抜けてくる。
………しかし、階段をのぼり終え平地に出たと思えば、眼前に広がる景色は濃い霧とたくさんの 樹木に包まれた、まるでジャングルのような場所だった。
皆、息を切らしながら口々に疑問の声をあげる中、サトツが口を開き説明しだす。


「ここは、ヌメーレ湿原。通称、"詐欺師の塒"……二次試験会場へはここを通って行かねばなりません」

 そう話し、引き続きこの湿原には狡猾で貪欲な動物が多いこと。そして、注意してついて来ないと騙され、そして死ぬことを話す。……が、早々騙されるわけがないと鼻で笑う受験者が多かった。


「ふ〜ん……、ここで何人死ぬかな?なんか、面白いこと起きそうな気がするな、あたし」

「……ねぇ、キルア。ルチアって危ない事、大好き?」

「いや、さすがに大好きじゃないとは思う。……けど多分、楽しむ方じゃないか?」

 ルチアの危険な発言に、本人には聞こえない程度の音量でそう囁きあう2人。
言われている本人は、それに全く気付かずこれから走るヌメーレ湿原を見渡している。
……と、後ろの方から突然"うそだ!"と言う言葉が聞こえてきた。受験者全員がその声のした方を振り向けば、先程のぼってきた階段の壁の後ろから傷を負った男性が1人出てきて、本当の試験官は自分でサトツはニセ者だと言い張る。


「ニセ者!? どういう事だ!?」

 体中傷だらけで出てきた男性のその発言に、受験者達の間に波紋が広がる。……更には、このヌメーレ湿原に生息するという人面猿の死体まで見せる始末だから、波紋はさざ波のように加速し、広がろうとしていた。




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