your has side
□第一次試験 act.3
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「…なんで皆、こんなのに騙されちゃうのかな?あの人、全然人のにおいしないのに」
「におい?ルチア、どういう事??」
「だって、あの人からは動物の臭いしかしないもの。……あれは、あたし達を騙そうとしてるだけ」
「オレも、ルチアと同意見。アイツ、試験官でも何でもないね。……あとゴン、言っとくけどオレはルチアみたいに臭いで分かるとかじゃないからな。て言うか、ルチア本当に臭い分かって言ってんの?」
「もちろん!あたし、嗅覚スッゴイ良いんだから!!」
彼女のその発言に、ゴンが不思議そうに聞き返してくる。
そんな彼に対し、ルチアもちゃんと説明するとその意見に同意するキルア。……まぁ、同意する次いでに疑問を投げかけるが、満面の笑みで自信満々に"もちろん"と答えられてしまい、多少呆れたように"あぁ、そうかよ"と答えていた。
と、3人が会話をしている間も自称・試験官と名乗っている男は、他の受験者達に人面猿がどんな動物なのか、どんな習性・狩りをするのかを説明しサトツを完全に疑わせようと、彼を指差したその瞬間。
――――……、サク。
試験官と名乗った男の顔に、トランプカードが数枚突き刺さっていた。その男は、小さく息を吐くと、後ろの方にゆっくりと倒れていく……。
その場に居た全員が、その光景を目の当たりにして。倒れた男とは反対側に居たサトツの方を振り返る、とそこには投げられたトランプカードを全てキャッチしている彼の姿があった。………そして、最後にそのトランプカードが飛んできた方向を向く。
………そこには、まるでピエロの様な格好をした男が満面の笑みで立っていた。
「なるほど、なるほど◆これで決定、そっちが本物だね★」
そう言って、トランプをもてあそびながらピエロのような格好をした男……ヒソカと言うらしい。はサトツを指差し、試験官と言うのは依頼されたハンターがなる物だからこんな攻撃で死ぬわけが無いなど話す。サトツは、彼のそんな言葉を聞いて一言二言話し注意をすると、ヒソカが倒した男の肉を貪りに来た鳥を見ながら、受験者達に今起きた様な事が日夜繰り返されており、こうやってここの動物達はエサを捕獲しているのだと話すと再度、二次試験会場に向けて出発するのだった。
「さすが湿原。ぬかるみがヒドイね」
「だな。足を取られないように注意しないと。ゴンもルチアも気を付けろよ」
「オレは、大丈夫。オレよりもまず、ルチアを心配しなきゃキルア」
「なんで、そうなるんだよ!? ゴンッ」
「あたしも大丈夫だよ、ゴン。それに、心配する程ヤワじゃないのはキルア、知ってるもんね?」
などと話しながら走り始めて間もなく、辺り一面にとても濃い霧が出てきた。前後の人間がハッキリ見えない程の霧。左右の人間は、肩が触れそうなくらいに近づいていれば見える程度のものだった。
「ん〜……。霧も出てきたね」
「出てきたねじゃなくてだな、ルチア。ゴンも、2人共もっと前に行こう」
「うん、試験官を見失うといけないもんね」
「それもあるけどもさ、キルア。理由はまた、別なんでしょ?」
「あぁ、……ヒソカから離れた方がいい。あいつ、殺しをしたくてウズウズしてるから。霧に乗じてかなり殺るぜ」
「やっぱり?じゃあ、ゴン。早く、前に行っちゃおう」
キルアとルチアの言葉を聞いて、ゴンは"なんで、そんな事わかるの?"と言う顔をする。
その顔を見て、ルチアは笑いながら口を開く。
「さっきも言ったでしょ?あたしは、臭いでわかるって。だからだよ……、あとはまぁ気配?」
「気配?ん〜……??」
「あんま、深く考えなくていいぜゴン。とりあえず、オレとルチアには分かるんだよ。なぜなら、同類だから。臭いでわかるんだよ」
「うん、そういう事」
「同類……?アイツと、キルアとルチアが?そんな風には見えないよ 」
「それは、オレらが猫かぶってるからだよ。そのうち、分かるさ」
「ふ〜ん……」
キルアの言葉に、ゴンは先程と同じく対した驚きも見せずに返事を返すと後ろを振り返り、大きく息を吸って口を開く。
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