魔法旅行記ブック

□第一言
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「……………は?」

思わず間抜けな声を出してしまった。

「声だけじゃなく顔も十分間抜けだから安心しろ」
「余計なお世話です。…じゃなくて 旅行、ですか?」

今、僕の目の前にいるのは赤い人、否 哀川さん。


ことの始まりは数十分前。


いつもの事ながらすることも無く
天井をボー、と意味も無く見ていたある日のこと……

その静寂を破るように鳴ったコンコンなんて生易しい音じゃなく、ガンガンという荒々しいノック。

そのおかげでまたドアが壊れた。

そしてこの一言。


「なあ、いーたん旅行行かね?」


そして冒頭に至る。



「いや、旅行って またなんで急に旅行なんて……」
「うん? んー まぁ良いだろ 」

哀川さんにしては珍しく煮え切らない。

「旅行は旅行でも異世界旅行ってな♪」

♪じゃねぇよ。
なんだよ異世界旅行って…………
そもそも異世界なんて有るのか?

「有るからいってんだろーが」

ナチュラルにまた心を読まれた。

「一姫も一緒に連れていけ」
「ぇ 姫ちゃんもですか?」
「《師匠が行くなら姫ちゃんも行くですよ!》だってさ。いーたん愛されてるぅ〜」

ひゅーひゅーなんて言っている哀川さんに少しイラっとした。

「つーことで、行くよな」

疑問系ではないその言葉に僕が異世界旅行とやらに行くことは決定らしい。
……拒否権無いんだ………。
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