魔法旅行記ブック

□第五言
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「ねえねえ!貴女名前が言われなかったんだけど、どうして?」

「本当に東洋人!?」

「俺の名前は…………」



兎に角、グリフィンドール席についたとたん僕の回りに集まる子供達。


……なんだこの集団コワイ。



校長が話していると言うのに、それもお構いなしに僕に次から次へと話しかけてくる。

多分、好奇心が勝るのだろう。


「《静まれー!!》」



ぴたり


と校長が魔法で声を大きくしたのだろう声を掛けると、途端に静かになった大広間。


「ーーゴホンッ、えー、転入生に興味は有るだろうが、後にしなさい。それでは」


ひゅん


校長が杖を振ると、ぱっと出てきた豪華な料理の数々。


…………いや豪華なんだけど、昨日まで日本食を食べていた僕にとって、この胃が凭れそうな料理は、はっきり言ってあまり口にはしたくない。

姫ちゃんはどうかと見てみると、


………食べていた。

そりゃもうガツガツと、脂っこいものなんか気にもせずに、周りの眼なんか気にもせずに、食べていた。


よく食べられるな………

見ているだけで胸いっぱいだよ姫ちゃん。



「あれ?食べないの?」


「え? あぁ、小食なもんでね、あまり…………」


「そっかー」


僕に話しかけてきた金髪の女の子とそれから当たり障りのない会話をち続ける。


暫くすると、食事の時間も終わり、各寮に戻る、とのことだ。


『君達は特別に同じ部屋にしよう。馴染みのない子達より、今まで一緒にいた子の方が良いだろう?』


と校長の言っていたことを思いだし、姫ちゃんの方へ向かう。


グリフィンドールとスリザリンは仲が悪い、とは聞いていたが……

姫ちゃんの方へ向かうのにスリザリンのテーブルを横切らなければならない。その時の視線といったら…………



「姫ちゃん」

「あれ?師匠、何でここに居るですか?」


姫ちゃんはやはりと言うか、ディペットさんの言っていたことを忘れているらしい。


「もう忘れたのかい?校長が言っていたじゃないか。部屋は一緒にするって」

「……………………ああ!」


やっと思い出したらしい。


「思い出したかい?じゃあ行くよ」


姫ちゃんと連れ添って歩く。


またもや沢山の視線。

チクチクと刺さるソレに居心地が悪くなってくる。


「……よく気にならないね」

「?何がですか?」

「…………いや、何でもないよ」

「変な師匠ー」




君にだけは言われたくないな………


こうして、慌ただしい一日は終わった。




…………先行き不安だ。
 

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