鬼ごっこ

□one
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涼「ん…」


どこだ、ここは…。


確か今日は仕事で楽屋に行って…


1番で暇だったから雑誌読んでて…


そうだ、そのとき突然後ろから何かで殴られた。


それから多分意識失って…


気づけばここにいたんだ。


涼「は…っ!み、みんな!みんなどこ!?」


周りは真っ暗で、人なんていない。


静まり返った空気だけが漂っていた。


ていうか窓もないのかよ…。


涼「…った、」


まだ痛みのある頭を抑えながら立ち上がった。


涼「本当どこなんだよここ…」


真っ暗な空間にしか見えない今、その場を動けるわけじゃない。


バランスが崩れ、少しよろめいたとき、足に何かが当たった。


涼「な…なんだ?」


手に取ると、スイッチのようなものが指に当たった。


この形、まさか?


涼「……大当たりだ…」


運が良いのかそれは懐中電灯だった。


懐中電灯で周りを見れば、沢山のものがあった。


綺麗な本棚に、綺麗な机。


観葉植物に赤い絨毯。


白い壁に茶色のドア。


涼「…ん?ドア?」


俺はゆっくりと、そのドアに近づいた。


見る限り怪しいドア。


まあ今いるこの場所は部屋っぽいから開けた先に見えるとしたら廊下くらいだろう。


俺は勢いよくドアを開けて、辺りを懐中電灯で照らした。


涼「廊下……どっちに行けば良いんだろ…?」


そもそも皆がここにいるのかすら分からない。


まあまずいないだろうけど。


とりあえず右に行ってみた。


今思ったけど、案外冷静な俺ってすごいと思う。


涼「……」


カツン…カツン…


静かな廊下に俺の靴の音だけが響く。


なんだろう、この妙な恐怖は。


四方八方から見られているような気がしてならない。


焦って周りを見渡すも、だだっ広い廊下が冷たく広がるだけ。


俺は前を向き直して、進める足を早めた。


涼「みんないないのかよ…っ。」


冷静だった俺の心に、絶望という字が見え始めた。
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