虹物語

□第1Q「出逢い」
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( 白乃 音 の場合)



音「…………よしっ!」

満開の桜の下、花びらが散る中、音 は自分の通う高校となる誠凛高校の前で一人自らを鼓舞するようにガッツポーズを構えた。
胸には新入生の証である赤い造花。
強い決意を固めるように、そっとその花に触れると、音は歩みを進め出した。
正直言って人見知りのある彼女にとって、まだ慣れないうちの他人は少し恐怖心があり、こういうようなイベントに関してはまさに他人のオンパレードであるので、見た目では平静を装いつつも、それこそ内心、心臓は早鐘を打つように早まっていた。

「吹奏楽どう?!音楽好きでしょ?!」
「そんなのよりもハンド部来てよ!君ならレギュラー確実だって!」

嵐のような勧誘。
多くの先輩にぐいぐいとチラシを押し付けられ、さっきまでの威勢はどこにいったのか、逃げるように、凛は校内案内の看板の裏に走っていった。

音「怖かった…」

ほっと胸を撫で下ろすと再び彼女は(母親直伝)他人を盾に勧誘を避けて、どうにか人の少ないところへとたどり着いた。

ふと気づけば、そこには簡易的な机の置かれた部活のブースだった。どうやら、バスケ部のところ、らしい。

音「…………」

しばし、息をするのも忘れたように、バスケ部の文字を見つめ続けていた。


音「バスケ部……」


ふらり、と、音は歩き、そこの前に立つ。

音「すみません、マネージャーとしての入部は、よろしいですか?」

おずおずと申し出ると、そこにいた女の先輩は勿論!と明るい笑みを浮かべた。

リコ「貴女、どうして入ろうと思ったの?」

不思議そうに問うその先輩。女子のバスケ部がないからです、と苦笑して答えたが、

彼女には、それ以外の理由が在って。








音(やっぱり、諦めきれないんだ。)
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