虹物語
□第2Q「どけカス。」
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春。
それは出逢いと別れの季節。
椿姫「とか言ったの誰だよ。卒業式なんてクソ寒ぃ冬だっつーの。春に浮かれてる奴全員不注意でトラックに潰されやがれ。」
入学式の朝、新しい環境に沸く同級生の中を麻倉 椿姫は進んでいた。
椿姫「くそッ…入試当日なんかに体調壊すとかしなけりゃ今頃こんなトコなんかにいなかったのに。」
数多の笑顔の中に、仁王が一体。
新学期であるにも関わらず激しく不機嫌顔の彼女に近付く物好きなど、いるはずもなく。
顔はかなりの整ったものであるのだが、こんな鬼の形相をしていれば、かの女好きの光源氏ですらも逃げ出しそうだ。
多分じゃなくて絶対。
ぶつくさと文句を呟いていると、
椿姫「…ん?」
ふと、気付いた。前の人だかりに。
道をふさいで通れない。
「キャーカッコいい!!」
「あの、モデルの黄瀬くんですよね!」
「ラインのID教えてください!!」
黄瀬「いやぁー、あの、ちょっと…」
…何だこいつら。
それを見た瞬間の心からの呟き。
全くもって良い気はしないけれど、しかし口には出さない。
ここで口に出すほど常識が無いとか思ったら的はずれだよ君。
さぁ其所をどきなさ
「ちょっとアンタ邪魔!!」
ドンッ
椿姫「邪魔はそっちだろてめぇら。あ"?」
椿姫(この女共纏めてシめてやりたい。)
黄瀬(……すげ。悪い意味で。)