仮面ライダーディサイア〜もう一人の魔法使い〜
□prologue
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暗がりの路地裏。
そこに、二つの人影があった。
「や、やめて!!」
「キキッ!いいねぇ?その表情!死への恐怖で飾られた顔は、何よりも美しい!さぁ、絶望してさらに美しい芸術を見せてくれ!」
異常な容姿をもつ、怪物が一人の女性に襲いかかろうとしていた。
その時だ、
バァン!!
「グワァ!!な、なんだ!?」
謎の銃弾が怪物に降り注いだ。そのおかげもあってか、女性との距離が離れる。その隙に女性は逃げ出した。
「あ、待て────バァン!───グハッ!?」
またもや銃弾が直撃。
「な、何なんだ!!」
路地裏に怒号が木霊す
しかし、返ってくるのは自分が発した怒声のみ。狙撃者の存在感は感じられない。
獣のように辺りを見回す怪物。そんな静寂の空間に、突如として不思議な音が鳴り響く。
─────カッ……カッ………カッ……
何か、固いものを打ち付けるかのような音色に、怪物は頭を傾げる。
「どこだ!どこにいやがる!!」
────カッ………カッ………カッ…
返ってくるのは、同じ音。
すると、あの音が鳴り止んだ。
怪物は音が鳴り止んだことを不思議に思いながらも、デタラメに辺りにある物を攻撃し始めた。
「どこだ!ここか!そこか!?」
「………醜いな、暴れるしか能にないのか?」
「!?」
謎の声が響き渡った。透き通るようなその声は、殺気が籠もっている。
怪物は反射的に声がした方に身体を向ける。そこには、怪物と同じように、異様な姿をした何かが、竜の顔を模した銃を左手の甲に軽く打ち付けていた。
それが怪物と違う点があるとすれば、限り無く人に近い容姿をしているところだろう。それはまるで、どこかのヒーローのような姿。
黒と蒼を基調に、装飾が施されたスマートな外見。竜のような、騎士のような仮面に在る二つの蒼眼が怪物を映す。
「な、魔法使い!?」
「まぁな。そんじゃ、さっさと片付けるか」
「くッ!このォォォ!!」
怪物は雄叫びと共に自らの武器(槍のようなもの)を取り出して魔法使いと呼ばれた存在に襲いかかった。
魔法使いはそれを余裕そうに見つめ、
「さてと、これでも使っとくか」
そう言い、マゼンタ色の指輪を取り出した。それを左手の中指に填める。
次に銃を持ち替え、空いた右手で腰に装着しているベルトに付いたレバーを下にスライドさせる。
するとバックルの部分が開き、口を開けた竜の横顔が現れた。その口の部分に先ほど填めた指輪をかざす。
《イリュージョン!OK!》
するとベルトから音声が鳴り、魔法使いの左右に黒紫色の魔法陣が出現した。そこから魔法使いとそっくりな、いや全く一緒の容姿をした魔法使いが現れた。
「な!増えた!?」
「行ってらっしゃい、お二人さん」
「フッ」
二人は頷き、各々の武器を取り出した。片方は魔法使いが所持しているものと同じ銃を。もう片方はその銃を剣状に変形させたものを持ち、驚きで硬直している怪物に攻撃した。