硝子細工の姫君―Lies And The Truth―

□Chapitre.3
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「……異界を旅するということは、想像以上に辛いことよ。

様々な世界があるわ。例えば、そこの3人がいた世界」


そう言って、侑子は月夜と黒鋼、ファイを見た。


「服装を見ただけでも分かるでしょう。どれも貴方がいた世界とは違う。月夜のは、あたしが用意したものだけど…まぁ、似てはいるわね。


知っている人、前の世界で会った人が、別の世界では全く違った人生を送っている。

同じ姿をした人に、色んな世界で何度も会う場合もあるわ。

前に優しくしてくれたからといって、今度も味方とは限らない」


魔女の言葉を、4人共黙って聞いている。


「言葉や常識が全く通じない世界もある。化学力や生活水準、法律も世界ごとに違う。

中には犯罪者だらけの世界や、嘘ばかりの世界や、戦の真っ最中という世界もある。

その中で生きて、旅を続けるのよ。

何処にあるのか、いつ 全て集まるのか分からない、記憶のカケラを探す旅を。


でも、決心は揺るがない……のね」


「……はい」


「覚悟と誠意。

何かをやり遂げる為に必要なものが、貴方にはちゃんと備わっているようね」


微笑んで、モコナを乗せた手を上げる侑子。


「行きなさい」


浮かんだモコナの足元に魔方陣、背中に翼が現れる。


大きく開いたモコナの口に吸い込まれる月夜達5人。ぱくんっと飲み込むと、モコナも姿を消した。


同時に、降りしきっていた雨が止み、灰色の雲から太陽と青空が現れる。


それを見上げ、侑子は言った。










「……どうか、

彼らの旅路に幸多からんことを」
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