硝子細工の姫君―Lies And The Truth―

□Chapitre.4
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「ここは阪神共和国。とってもステキな島国や!

周りは海に囲まれとって、時折台風が来るけど地震はほとんど無い。

海の向こうの他国とも交流は盛んやで。貿易もぶいぶいや」


パペットを使い 説明を始めた空汰は、何処からか持ってきたホワイトボードを指す。


「四季がちゃんとあって、今は秋。ご飯が美味しい季節やな!」


ボードに書かれた秋の欄には、台詞通りの言葉がある。他の季節のところにも、食べ物関連のことが書いてあった。


次にパペットは、たこ焼きとお好み焼き、ソースの絵を指す。


「主食は小麦粉。あとソースが名産や!

法律は阪神共和国憲法がある。他国と戦争はやってない。

移動手段は車、自転車、バイク、電車、船、飛行機…あとは乳母車も一応移動手段かな、ハニー」


話を振られたが、嵐は黙ったまま。続いてパペットは地図に近づく。


「島の形はこんな感じ。形が虎っぽいんで通称虎の国≠ニも呼ばれとるんや。

そやから、阪神共和国には虎にちなんだモンが多い。通貨も(ココ)やしな。1虎とか10万虎とかや。ちなみに国旗も虎マーク」


虎マークといえば、とさらに続ける空汰。


「野球チームのマークも虎や! この野球チームがまた ええ味だしとってなぁ! むちゃくちゃ勇敢なんやで! ま、強いかっちゅうと微妙なんやけど」


この国にも野球あるんだ、と呟く月夜の隣でファイが手を上げる。


「はーい、質問いいですかー?」

「はい、ファイ君」

「この国の人達は、皆 空汰さんみたいな喋り方なんですかー?」

「んな水くさい、空ちゃんでええで」


空ちゃん、と律儀に言う小狼とは逆に、月夜とファイ、モコナは はーい、と返事をした。


「わいの喋り方は特別。これは古語やからな」

「この国で過去 使われてた言葉なんですか」

「そうや。もうほとんど使われてへん言葉なんやけどな」

『そうなんですか……でも私の国には、その喋り方の人達がいますよ』


少女の言葉を聞いて、顔を明るくする空汰。


「おおっ! そら嬉しいなぁ。けど、月夜は違うんやな」

『違う場所…私の国では県と言うんですが。違う県に住んでましたから』

「住む所によって喋り方が違うんか、不思議やなぁ」

『ええ。でも、どうして古語を?』


ああ、と空汰が答える。


「わい 歴史の教師やから、古いもんがこのままなくなってしまうんも、なんや忍びないなぁと」

「歴史の先生なんですか」

「おう! 何や、小狼は歴史 興味あるんか」

「はい、前にいた国で発掘作業に携わっていたんで」

「そりゃ 話が合うかもしれんなー」


そこまで聞いて、またファイが手を上げながら言った。


「もう1つ質問でーす。ここは何処ですかー? 誰かの部屋ですかー?」


ええ質問や! と、嵐の肩を引き寄せ、笑顔で答える空汰。


「ここは、わいと(ハニー)がやってる下宿屋の空き部屋や」


またも惚気を始めて うっとりする管理人。しかし、話を聞く3人と1匹の後ろでは、黒鋼が話に飽きたのか寝ていた。
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