硝子細工の姫君―Lies And The Truth―

□Chapitre.3,5
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魔女さんの所で4人分の対価を渡して、受け取ったモコナの次元移動の力で最初にやってきた国。って言っても、気づいたら何処か(誰か?)の部屋で、布団に寝かされてたんだけどねー。


「あ! 起きたのー!」


起き上がると、モコナが駆け寄ってきて、オレ目掛けてジャンプ。受け止めて周りを見ると、黒髪の女の子が隣の布団で眠っていた。

魔女さんの所でも思ったけど、可愛いなぁ。


「お、目ぇ覚めたか」


そんなことを思ってたら、扉が開く音と一緒に、部屋に男の人と女の人が入ってきた。…オレらを助けてくれた人達かなぁ。


「いやぁ、びっくりしたで。何か5人折り重なって倒れとるもんやから。放っといたら一番下敷きになっとった そこの黒いのが潰れてまうと思うてな」

「黒いのじゃねぇ!」


台詞と共に指差された黒いのが叫ぶ。起きてたんだ。ていうかいたんだ。


「これをどうぞ」


2人の言い合いを傍観していると、側に来た女の人がタオルを渡してくれたから、お礼を言って髪を拭く。


不意に、同じく雨に濡れた黒髪が視界に入った。まだ起きそうにないし、風邪引いちゃうかな。


「すいませーん。あと2、3枚 タオル貸してもらえませんかねー? この子達も拭いとかないとー」

「ええ、風邪を引いてしまいますし。手伝いますよ」

「ありがとうございますー」


再び笑顔でお礼を言い、少年の方は女性に任せて、受け取ったタオルで少女の服や髪を拭く。オレらより雨に打たれてた時間が短かったからか、思ったほど濡れてない。


その間、黒いのと言い合っていた男の人に事情を聞かれたから、だいたいのことを説明した。主にオレが。もー、あの黒いのホントに愛想無いなー。


それから2人はお茶を淹れてくるとかで、また出ていった。黒いのはさっきから壁に背中を預けて座ってる。


不意に、明かりに反射して小さく光るものが視界の端に映る。見ると、それは少女の目元に浮かんでいた。


―――泣いてる?


そう思う前に、閉じられた瞳にそっと指をあてて涙を拭っていた。


―――何してるんだろ、オレ。


他に構ってる暇なんて無いはずなのに。



何故だか、この子が泣いてるのを見たくないと思った。



しばらくして、その子が目を覚ました。拭いておいたことを伝えると、微笑んでお礼を言ってくれたけど……。


――泣くくらいだ、嫌な夢を見てたんじゃないのかい?


そう思ったけど、言わなかった。っていうより、言うタイミングを逃しちゃった。その後男の子が起きちゃったし。


でも、気になる。いつもならきっと、他に構ってられない、って切り捨てちゃうはずなのに。



出会ったばかりなのに、不思議だね。


この答え、いつか見つかるかな。



ねぇ、月夜ちゃん。










fin.


―――――
ファイ視点難しいね!\(^o^)/

え? 普通ファイと嵐さんが拭くの逆じゃないかって? 細かいこと気にしてたらこの長編に付き合えないぞ(嘘)


まぁ、思いつきで極たまに書いていきたいと思います。


本編もいいけど、こんな隙間のお話もよろしくです(*-ω人)

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