硝子細工の姫君―Lies And The Truth―
□Chapitre.6,5
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サクラちゃんの羽根を探す為に街中を歩いていると、ふと こっちを見ている男の子達の数がだんだん増えていっている気がした。…いや、気のせいじゃないや。
『どうしました? ファイさん』
オレが何かを考えていることに気づいたらしい、隣を歩く月りんがオレを見上げた。……若干上目遣いになってること、気づいてるのかな。
そんな不謹慎な考えを押し込め、いつもの調子で答える。
「何かねー、さっきより こっち見てる男の子の数が多い気がしてー」
『彼らも、モコナを見てるだけじゃないですか?』
「いやー、オレらの中で あんな数の男の子が見る人なんて、1人しかいないでしょー」
そう言うものの、月りんは意味を理解出来ていないようだ。そんな彼女に向かって、モコナがジャンプした。
「月夜もモテモテなのーっ!」
『え、私?』
白を受け止めて、瞬きする月りん。自分が見られているとは思ってもいなかったのか。無自覚って恐ろしい。今この瞬間、確信した。
「月夜、可愛いし綺麗だもんー。きっと、あの男の子達、みーんな月夜のこと好きになっちゃってるよ」
『それはさすがにねー……』
苦笑いを浮かべる少女。ありえないと思ってるのかな。でも、あながち間違ってないと思うよ。
モコナの言う通り、月りんは可愛いし綺麗。嵐さんがコーディネートしてくれた服は、肩が見えるニットの長袖に膝上のスカート、ハイソックスとショートブーツ(名称は嵐さんが教えてくれた)。さらに髪はハーフアップにして三日月の飾りを付けていて、彼女にかなり似合っている。
何より、君を見てる子達はみんな、頬が赤く染まってるもん。
――あんまり、面白くないなぁ……。
「どんな男の子が好みーって聞こうと思ったけど、ファイが面白くなさそうな顔してるからやめとくのーっ」
『「え?」』
唐突に出てきたオレの名前と、今思っていた 面白くないという単語に思わず声を上げてしまった。下を向くと、月りんとばっちり目が合う。
「オレ、そんな顔してたー?」
驚きと、顔に出てたのかという少しの焦りを笑顔に隠して問うと、モコナは今度はオレ目掛けてジャンプして答えた。
「してたーっ。ファイ、嫉妬なのーっ」
―――今、ものすごく聞き捨てならない単語が聞こえた気がする……。
いや、きっと気のせいじゃない。聞き間違えるはずないし。
オレ、嫉妬してたのかな。何の接点も無い、名前も知らない男の子達に。
そんなことを、変わらず笑みを浮かべて考えていた。
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