七つの大罪

□言えない台詞
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『ゴウセルの髪って、さらさらだよね』


酒場が駐留している近くの草むらに2人揃って寝転がっていると、後ろ(いや、頭上と言った方が正しい)から俺の髪を弄っていたリリスが、いきなりそう言った。


「そうか?」


そうだよ、と俺とは対照的な蒼い髪を揺らすリリス。


『思わず嫉妬するくらい』

「嫉妬…しているのか?」

『だって、女の私よりゴウセルの方が髪さらさらだなんて詐欺じゃない』


と言いつつ、どこか楽しそうに紅い髪を指に絡める。

そんな恋人に手を伸ばし、同じようにその蒼に触れた。


『!//』

「俺はリリスの髪の方がさらさらだと思うが」

『そ、そう?』


デジャヴだな、このやり取り。


『…ゴウセルにそんなこと言われるなんて、思わなかった』


小さな声だったが、顔を袖に埋めたリリスからは、確かにそう聞き取れた。


「? 何故だ?」

『いや…何て言うか……』


それきり黙ってしまうリリス。魔力が効かないから、何を考えているのか分からない。そんな俺の耳に、小さな声が届いた。


『と、とにかく……その……嬉しいってことよっ///』


顔こそ上げなかったものの、それが髪と対照的な色に染まっているのは容易に分かった。


「……リリス、顔を上げろ」

『……やだ』


子供か。

ぺしぺしと軽く彼女の頭を叩いていたが、言うことは聞いてくれそうにない。……仕方がないな。


「リリス、起きないと別れr…」

『それはやだ!』


言い終わる前に、がばっと顔を上げた恋人の唇を、素早く自分のそれで塞ぐ。


『……///』

「冗談だ」


そっと唇を離し、見ればリリスの顔は俺の髪の色と同じくらいになっていて。


『〜〜〜っ、ゴウセルのバカッ!//』


そう叫び、いきなり数本の水の槍を放ってきたが、ひょいとかわす。動揺するとこうなるから分かりやすい。いわば、俺の魔力が効かない彼女の心中を知る唯一の方法。


「いや、すまない」


可愛かったものだから、ついな。


なんて言ったら、また攻撃されるから言わないでおこう。



だが、それは大抵照れている時。ならば…。










言えない台詞



(言ったらどうなるんだろうな)



fin.
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