FAIRY TAIL
□王と女王
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『……生きてる? 冥王さん』
静かに声をかけると、閉じていた目がゆっくりと開き、顔を覗き込んでいる私を捉えた。
「……フィネア……」
フェイスで大陸中の全魔力を消滅させ、ENDを復活させる計画は失敗に終わった。闇の翼アクノロギアの襲来。炎竜王イグニールとドラゴン達の復活。九鬼門の敗北。そして、何よりも妖精の尻尾の魔導士達が、彼の策を狂わせた。
「全て、視ていたのだろう……? 冥府の門は―――負けた」
『――……』
「お前も共に……ゼレフの元へ…還れると、思ったのだがな」
そんなこと、言われなくても分かっている。
何百年の中で、何千回考えたかさえも分からない。
でも、私は還れないって、いつだったか言ったはずなのに。
傍観者≠ヘ永遠に世界を視続け≠ネければならないから。
せめて貴方達だけでも、と思った。
だから―――……。
『しばらく休みなさい……冥府の王マルド・ギール』
「……? フィネア…お前、何を……」
一瞬だけ微笑み、冥王にそっと口づける。直後、黒い姿は消え、代わりに1冊の本だけが残った。
―――今も昔も、そしてこれからも、私が愛する悪魔の魂。
『本の姿で……しばらく眠りなさい。後は、私が……』
荊の表紙のゼレフ書にそっと手を伸ばし、それを抱える。
彼がそうしていたように。
安心して、いずれ時が来たら、九鬼門と共に復活させるから。
そうしたら今度は、傍観者≠ニしてではなく、冥府の女王≠ニして。
傍にいるから。
だから、しばらくさようなら、冥王よ。
王と女王
(いつか必ず訪れる、再会の時)(その時こそ、私達の望みは叶う)
fin.