マギ
□気紛れな君
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「アリシアは猫のようだな」
椅子に座り、まだ僅かに湯気が立つお茶を飲んでいると、書物を読みふけっていた彼がいきなりそう言った。
『……は?』
何秒か沈黙し、疑問符を浮かべる。
『紅炎さん…それは一体どういう……』
「そのままの意味だ」
そうですか……。
じゃなくて。
『どうしたんですか? いきなりそんなことを言うなんて』
「いや……ふと思ってな」
書物読みふけってたくせに、何でそんなこと思うんですかあんたは←
「……」
『煤x
しまった。思ったことがつい顔に出てしまっていたらしい、何とも言えない表情でこちらを見る紅炎さん。
誤魔化しがわりにカップを置き、さも何事もなかったかのように気になっていたことを聞く。
『でも、私ってそんなに猫に似てますかね』
「似ているだろう」
この俺に、ふと思わせるほどだ。
「屋根の上のような高い場所が好き。少し目を離せば何処かへ行っては、何もなかったかのように戻ってくる。おまけに自由奔放で気紛れとくれば……」
『……』
確かにそうかもしれない……(汗)
彼が挙げた理由、すべて図星←
「だから……」
立ち上がり、私を後ろから抱き締める紅炎さん。
「こうして、捕まえておかなければな」
『別に…紅炎さんの目が届かない所になんて行ったりしませんよ』
この腕の中を、手放したくないから。
「ならいい。まぁ……
アリシア、お前が何処にいようと、見つける自信はあるがな」
気紛れな君
(それなら、例え私がどんな所にいても見つけ出して)(この身体を、その腕の中に閉じ込めてよ)
fin.