夜食

□最南端。
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水平線。どこまで行っても青い海
一点に定まらない目線が私の頭をおかしくして…。


「…っ」


力の抜ける体。
ふらつく足元。私は管板に倒れた。

「おい…?!」




それからほどなくして大きな衝撃がした。
体が湿って身動きが聞かなくなって
苦しくって。気が遠くなった。






―――― おい、お前!!

―――― まあ、…ム。今は寝かせておけ。




そう。今は寝かせて…さ…い。





―――― 復活した。魔王。


―――― 父さん!!!





先程の声が遠くでまた響いた。そうだ!私は!?記憶の穴を埋める為上半身を起こした。


未だに横になっている下半身は薄い布がかぶさっている。触るとカサカサと乾いた音が立つ。外皮もどことなく違う。何時もより風が通っている。

恐ろしくなって体を見る。ソコには見慣れた山吹の袴などは無く、代わりに薄い桃色地のワンピースが着せられていた。鮮やかに描かれた花々は南国を思わせる。


南国…そうだ!!パプリカ島だ!!


じゃぁさっきの悲鳴は私を助けて下さった島民!?

「キャアアアア!!」


女性の悲鳴がまた響いた。
助けないと!! 辺りを見回す。ベッドのみの薄暗い個室であった。 武器になるものはない。

自分の太ももを探る。細長い樹の棒 あった!


引き抜き、鞘を抜くと母の形見の小刀であった。

「お母さん、私に力を貸して…!!」


部屋を飛び出した。一つの陰が風を切った。
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