千年の序章を終わらせる者
□3 大切なモノ
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「だしなさい」
「持ってないったら・・・持ってない!」
「・・・おうじょうぎわのわるい」
首を絞められたまま高く持ち上げられて抵抗するも、レベル4はほんの少し首をかしげてふう、と軽くため息をつくだけ。
背後に突然現れたレベル4に首を掴まれ、「イノセンスを出せ」「イノセンスの在り処はどこだ」の質問攻めにあい、当然イノセンスを持っていないユキには何も応えられない。
必死に空気を取り込もうとレベル4の指と自分の首の間に指を入れて気道を確保するも、いつまで体力が持つかわからない。
ユキの意識が少しずつ遠くなりかけていた。
「ころしたほうがはやいですね」
「っ!」
突然の発言に思わず目を見開くと、レベル4は何の躊躇もなくユキを掴んだまま水面に思い切り叩きつけた。
ドパアアアァァァン!
物凄い衝撃に一瞬意識が吹き飛んだ。水中の中で肺に溜まっていた空気を全部吐き出してしまい、ユキは意識を手放しかけた。
(あたし・・・殺されるのかな・・・)
水中の中でうっすらと目を開く。
(こんなわけもわからない形で・・・?)
無意識に手が水面へ伸びる。
――死にたくない
どくん、と心臓が大きく高鳴った。