切恋。
□別れに花を
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別れというのは、常に唐突だ。
どれだけ心から愛していても運命は容赦などしてくれない。
未来への不安。
愛する人との別れ。
別れへの恐怖からか、手が少し震えている。
どこまでも続いているような大きな夕焼けとは裏腹に小さな小さな俺たちは運命などどうする事も出来ない――――――――
『なあ、知ってた?スイートピーの花言葉って、“私を忘れないで”なんだって!』
得意げにそう言ってくるのを軽く受け流す。
そんな俺の対応に少し怒った様子でちゃんと聞けと怒られる。
そんな日常さえもすぐに変わってしまう。
『俺、さ。ヅラとか高杉とか。あいつらと…また、戦に行くんだ。』
『馬鹿みてえだろ?このご時世、天人なんかと戦っても勝ち目がないことなんて、分かってるのに。』
『それでも、俺は、行かなきゃいけねえんだ。』
『…お前に、俺と一緒に来いとは言わねえ。お前が行くって言っても止める。』
『きっと、またいつか会える。それまで…浮気したら銀さん怒っちゃうよ?』
いつもと同じ、万事屋であいつと過ごす休日。
そんな日に突然告げられた別れ。
どこかで、セミが五月蠅く鳴いていた。