ウルトラマンゼロIF―NEW EARTH ODYSSEY―

□SEQUENCE10『狙われた研究所』
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 ある日の夜、日本各地で夜空を流れる青い輝きを放つ流れ星がいくつも観測された。



 その光はもちろん、海鳴市でも見れていた。



「ディアーチェ、流れ星ですよ」
「おお、そうだのぉ」
 バイト帰りのディアーチェとユーリもその流れ星を見付け、立ち止まって眺めていた。
「あ! 願い事言うの、忘れてました」
 見付けたはいいが、願い事を言うのを忘れてしまい、残念な雰囲気になる。
「何を願おうとしたんだ?」
 大方想像はできていたが、聞いてみるディアーチェ、想像できてるからか、少しばかり口元が緩んでいた。
「シュテルとレヴィが無事でいますようにと」
 想像通りで胸が暖かくなる、自分も同じ事を願うはずだからだ。
「そうだな、あの二人が無事でいる、それが我らの今の願いだな」
「ええ」
 今ごろ、夜間のパトロール等をこなしながら、同じ空を見ているだろうなと思うディアーチェ。次、帰ってきた時は何を用意してやろうか、と考え始めていた。
「あ、また流れ星です」
 また流れ星を見付けたため、今度こそ願いを言おうと手を合わせるユーリ、だが。
「ん?あの流れ星………おかしくないか?」
「おかしい?」
 指摘され、見付けた本人もよくその流れ星を見る。
「流れてないですね」
「ああ」
 流れ星なのに流れていないのだ。その流れ星のような光はジグザグに動きながら下に落ちていき、ビルの陰に隠れてしまった。
「見えなくなっちゃいましたね」
「………あの方角、研究所がある方だな」
 この海鳴市の郊外には変わり者の博士とその家族が住む研究所がある。前回、ギガザウルスの事件の時にシュテルが話していた魔法関係者で、メガネ型アナライズツールの製作者の事だ。
「そういえばそうですね」
 それを指摘され、思い出すユーリ。ディアーチェはその方角を見つめて腕を組んだ。
「嫌な予感がするな」
 胸騒ぎがし始めたディアーチェは辺りを見渡し、ユーリ以外誰もいない事を確認すると暗黒甲冑を纏った。
「ディアーチェ?」
「ユーリは帰ってろ、ちょっと様子を見てくる」
 翼を羽ばたかせ、浮遊し始めるディアーチェ、そのまま一気に飛び立とうとする前に。
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