ウルトラマンゼロIF―NEW EARTH ODYSSEY―

□SEQUENCE17『無限の勇者』
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「ん〜あ、姉ちゃんおはよー」
「おはよーシン」
 ある日の朝、ディレクションルームへ向かう途中、頭になはとを乗せたシンとレヴィが鉢合わせていた。あれ以来、あの一回の呼び方からシンはレヴィの事を姉ちゃんと呼ぶようになっていた。
「なはともおはよー」
 ちゃんと頭の上のなはとにも挨拶して、よしよしと撫でる。
「今日もシュテルは朝から工作室か」
「うん、ハルカとシャーリーと頑張ってるよ」
 ここ最近、デバイス改造のために三人で朝早くから、夜遅くまで工作室に籠もっている事が多くなっていた。
「シャーリーがいるから捗ってるって」
「専門家がいるから当然だな」
「二人以上にシュテるんが意気込んでるけどね、誰がシュテるんにやる気を出させてるのかな?」
 ニヤニヤするレヴィ、当のやる気を出させている本人は恥ずかしそうに明後日の方向を向いていた。
「愛されてるね〜」
「う、うっせーよ」
 本当は嬉しいのに照れ隠しで悪ぶるシン、分かりやすいためますますニヤニヤするレヴィ。
「可愛いなもう、なはともそう思うでしょ?」
「なはとに同意求めるなよ姉ちゃん」
 まったく、と思いながら頭の上のなはとを撫でた。
「シン、レヴィ、おはよう」
 そこに、フェイトがやって来た。
「おはよーフェイト」
「おっす」
 二人が返すとフェイトもレヴィと同じようになはとにも挨拶した。
「なんの話してたの?」
「シンが可愛いって話、照れるとすーぐに悪ぶるんだよね」
「だからうっせーって言ってるだろ姉ちゃん」
 あの時は人前では呼ばないと言っていたくせに、今では人前だろうがなかろうが、姉ちゃんと呼んでいる。
「お姉ちゃんにそんな態度取っちゃう?」
「おう、姉ちゃんだろうがなんだろうが、俺のスタンスは変わらないぜ?」
 負けじとニヤッと笑うシンだが、そこはウルトラマンの姉となったレヴィの方が上手、レヴィはシンの耳元で囁いた。
「じゃあシュテるんとチューしてたことをキリエに言っちゃおっか?」
「それだけは勘弁して姉ちゃん!」
 当事者であるレヴィは最終兵器(弱味)を所持している、こうすればシンは言うことを聞かざる得ない。
(仲いいな二人とも)
 その光景を眺めるフェイト、髪の色も同じなので本当の姉弟のように見えた。
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