ショートケーキ

□笑顔を見せて
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時刻は午後3時に回ろうとしている、そんな歌舞伎町で。

一人の銀髪の侍が、とあるカフェの店の前でぶつぶつと何かをつぶやいていた

傍から見たら変質者なわけで…


そんな中、カフェに脚を進める一人の女がいた













お、ちょうどいい時間帯についたなぁ。

今日は仕事前に、お店に飾る花を頼まれていたため花屋さんに寄ってから店にきた。

片手に花を抱えてすたすたと歩いていく、と



お店の前に見たことあるお方が…
なんかうろちょろして何かつぶやいてる人が…。




よく見ると銀髪に天然パーマで木刀をもっていると言えば…
歌舞伎町に一人しかいないよね?








『坂田さんだ…』








前にお礼に行って、万事屋の皆さんとなかよくなった。

坂田さんはぶっきらぼうだけど優しい目をしていておかしな人だけど、可愛い人でもあった。

神楽ちゃんはとても可愛らしくて、目がくりくりしてて…たくさんおしゃべりしてくれる妹みたいでうれしかった…

新八くんはいい家政婦みたいな感じだったけど、優しくて気立てのいい弟くんみたいな感じだったなぁ…



万事屋の3人の事を考えると妙に笑みが溢れてしまう。








歌舞伎町にきて友人もなにもない私には本当に嬉しい出会いで

3人は本当に暖かくて……なんだか、家族みたいで








……羨ましかったなぁ。






近くまで行って影から見てるとなにやらぶつくさ言っている。







「おい、なんで此処にいんの俺。
 いやいやいや別に?真っ先に来たかったわけじゃないし?3時だし?おやつの時間だし?
 カフェってパフェとかあるしよ?寄ってみる価値はあるじゃん?うん、そうだふつうのことだよ……
 別にビビってるわけじゃねーよ?でもなんかあるじゃん、何かがよ。俺にもわかんねーけど……いやでも…ーー」





・・・なんだかものすごい一人で苦戦してるみたい。




その姿にくすっと笑ってしまう



そして近くに寄って声をかける








『さーかたさんっ!』

「キギャァアアアアアアアアアアッ!!?」

『ひぁっ!!?』







いきなり呼んだためびっくりしたのか
坂田さんはすごい声を出したため私もびっくりしてしてこけかけるところを

坂田さんが腕を掴んでくれたおかげで助かった。



「ッぁー…あぶねぇ……」

『わ…さ、かたさんありがとう』

「どういたしまして………って、今日出勤だったんだな」

『はいっ………お店、来てくれたんですね、ふふっ…』

「んだよ…来ちゃ、わりーか……?」



そう言って私から目を逸らして右の手で頭をがりがりと掻く坂田さん




なんだか…子供みたい



一回くすりと笑って彼に言った



『違うんです、来てくださったことが嬉しくて』

「っ…………そ、ですか」







あ、照れてる…


その表情に胸が暖かく感じる。





「そっ、それより…よ? その花……な、なんの花だ?」



ふはっ…話逸らした




『ふふ……』

「な、なに笑ってんだよ」

『あ、な…なんでもないですよっ!この花は、お店に……飾る様のです』



綺麗ですよね、と付け足して言うと何故か





私の顔へと坂田さんの手が伸びてくる


『へ……』



「花びら…くっついてっぞー?」



その坂田さんの人差し指が頬を抜けてこめかみの方へと伸びてきて
そっと一枚の花びらをすくうようにとってくれる。



『あ、ありがとうございま……っ!!?』



こここここ、こんなに近くにか、顔が!!!

って、よく見ると……綺麗な顔立ち…?


「お、お…うって……っ〜〜!!?」


まつ毛も長いし…唇も綺麗な形してて………



ほっぺたもすべすべ…羨ましい……って


「おおぉおぃいい!!?な、何してるんですかあやチャーン!?」

『へっ、……は、………っ!!?ご、ごめんなさいっ……』



ちょちょちょ!!?なにしてんの私ぃいいいいいい!!!



気づいたらペタペタと坂田さんの頬を撫でていて目の前で口をパクパクさせる坂田さん。

なんて恐れ多いことをぉおお…っ!!!


そしてとりあえずハンカチで頬っぺたを拭く。


『ごめんなさい…っなんか無意識で……』

「え、え、?なんで拭くの?ねぇ、なんで拭いてんの?それも無意識なの?」

『なんとなくです……ごめんなさい』

ハンカチをすっと離すと坂田さんが口に手を当てながらごにょごにょと言った。


「え、いや…べつにいいけどよ……」


『……はい。』


「………」

『…………』


な、なんだろうかこの微妙な沈黙。


と、とりあえず!!!




『せ、せっかくでひゅかっ………』

「…………」


か、噛んだ…なんでこんな時に噛むのぉおお〜〜!!?

恥ずかし…


そんなことを思ってると


「ぷっ……はは、なんだよでひゅって…」

『う゛ー……噛んだんですよ…』


あ、笑った……。

なんだか子供みたいで可愛い



「ん、で?何よ」

『……せっかくですから…お茶寄ってきませんかって…』

「へい、よろこんでー」





そう言ってお店に入っていく坂田さん。


さてと、今日も頑張れそうかも!
と思い私も職場の店内に入り入口に花屋で買ったミムラスの花をちょこんと飾った。



職場の中に入ろうと足を進めると坂田さんがにかーっと笑って手を振ってくれた。




その笑顔を何度でも見たいと思ったのはきっと興味が沸いたから…なのかな。









笑顔を見せて

(もっと知りたいから、あなたのこと!)




























あとがき*


ミムラスの花言葉は「笑顔を見せて」です!
銀ちゃんは滅多に笑ってくれないけれど!たまに笑ってくれる子供みたいな笑顔にきゅんとくるあやちゃんなのでした(灬╹ω╹灬)*
 

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