ショートケーキ

□温もりに泣きたくなった
1ページ/2ページ









『わ……っ!美味しいです…っ』

「おっ、お嬢ちゃん味がわかるねぇ……どうだい!もっとヌルヌル塗るかい…?」


『はい…っ もっとください……あっ、こんなに……』


「そうだ…そう、そこ口に含ん「ごるぁあああああああセクハラじじぃいいいいいいっ!!!」あべしっ…」






此処は行きつけの団子屋なわけで、そしたら何故かまたあやを見つけた。

団子を頬張るあやを遠くから見つけて、聞こえたのはなんか卑猥だったため。
店の店主、セクハラじじぃにキックを浴びせたわけで…
そしてじじぃは倒れてぴくぴくしてる。


その状況にきょとんとした目をした後に俺だとわかると目を輝かせてくるあや。


…っかあいい






『坂田さんじゃないですかっ!今日はお団子屋さんに御用ですか?』

「お、おう…なんたって銀さん糖分王だからねっ!」

『そうでしたっ!大の甘いもの好きですもんね…ふふっ』



くすくすと笑うあや。



「おうっ!…今日は仕事休みなのか?」




よいせっ、と声をだしてあやの座る団子屋のもう古びた椅子に座る。



『はいっ…今日はお仕事お休みでして』



横に座った俺の方に顔を向けて微笑んだ。


「おや、お二人さんは知り合いだったのかね」


俺に蹴られて倒れていたじじぃが起き上がり、あやは大丈夫ですか?とハンカチを渡す


「あぁ、まーな…」

「あ、旦那。もしかして……これか?」


左手であやから受け取ったハンカチで頬を押さえつつ、右手で小指を立てて俺に聞いてくる。

実にじじぃだな、ほんとにじじぃだ


「古いんだよ、表現がじじぃなんだよじぃさんよ…
 しかもちげーし!あやと俺は純粋な友達関係ですぅー!!」

『そうですよ!坂田さんに私なんて似合わないし…』


え、?え?銀さんちょっといまどきっとしたよ?え、どゆことなの。


「そうかそうか、確かに天パの白髪と透き通る肌の美少女は似合わないよなぁ…」

「喧嘩売ってんのかクソじじぃ、早く団子持って来いや……頭にくしぶっ指すぞ」

「それだけは勘弁、いまお持ちしやす」



そう言って団子を取りに店へと入っていく。



「ったく、あのくそじじぃ余計なことばっかり言いやがる…」

『ふふっ…でもここのお団子は本当に美味しいですよね』

「あぁ、味は確かだよなぁ……」

『はいっ…美味しいです、このタレとか頬が歪んじゃいますっ!』

「大袈裟だな…」



そう言って二人して笑い、団子を食べるあやを見ると口にタレがちょこんと付いていた。


ったく、子供かよ…(笑)

綺麗なくせに、子供みたいだ。コイツ


「おい、口の端っこにたれ付いてんぞ?」

『ふぇっ…?どこでふゅか?』

「おいおい、団子とりあえず置け」

『ぷは…、ん…?』

「ほら……ココ」


示すように自分の右頬に人差し指でトントンと指差す


『んん…?ココですか?』

「あー、違う違う……ほら、ココだっつの」


あやの口端についているのを親指でふいっと拭う。




すると途端に、





『さささささ…坂田さん……』





……あ?

……。

……………顔近いぃいい!!



ナニコレデジャヴゥウウウ!!!
前にもあったよこんなことおぉおお!!ふぉおおおラッキー!!じゃねぇええ!!
あやめっちゃ驚いてるしぃいい!!



真っ赤な顔をして、口をパクパクさせるあや。



「わ、わりぃ…ッ」

『い、えッ!!……ありがとう、ございます…』

「お、おう……」

『さ、坂田さん!あの…、お団子美味しいです……ね』

「よ、よかったなぁ……」

『はい…』


おいぃいいいいいっ!!!
なんだこの気恥ずかしい感じはよ!!なんなんだよぉおおおいっそ殺してくれぇえええええ!!!




「旦那方、お暑いねぇ…へい、団子」

「うっせ、くそじじぃ……」

『も、もう…からかわないでくださいよ…』


むぅ、と口を尖らすあや。



だから…お前はなんでいちいちそんな可愛いわけ…?

さっきまで食べていたあやの団子の串と皿を持ち店に入っていくじじぃ。



「ごほん…、あやよ…?」

『はい?どうしましたか…?』

「お前よ、どこに家あんだ?」

『あ…実は万事屋から歩いて五分ぐらいなんですよ』

「!そうなのか…っ?偉いちけぇな…」

『最近新しいマンションができて…一人で暮らしてます』

「そういや、できたな最近…一人暮らしなんて大変だなお前も」

『いえっ……実家もバス一本で行けるところですし…!万事屋の皆さんと知り合えたので…寂しくもないですし!』

「そうか……」

『……たまに、寂しくもなりますけど…』

「………」


笑いながらも、どことなくその笑顔は寂しげだった


たまに…無理して笑うんだよなコイツ。



「……いつでも、来いよ」

『え?』

「生憎、ウチには胃袋娘とメガネとイケメン侍しかいねぇけど……」

『イケメン侍って坂田さんですか?』

「…俺しかいねぇだろ?」

『…ふふ、そうですね』


くすくすと口に手を当てて笑うあや


やっぱこの笑顔がお前には似合ってるわ…




「……だからいつでも来い、うるさくて寂しさも何も感じねぇーよ?」


そう言って頭に手を置くきぽんぽんと叩くと


『はいっ……ありがとう、ございます…』


そう言って俺に微笑んだ。


「ばーか、礼なんていらねーっての!俺らもうマブダチだろー?」

『はい…そうでしたっ』

「うし。お前にはその顔が一番だ…」

『へ……?』

「なんでもね…ほら、団子食えよ 固くなんぞ〜…」

『あ、そうですね…いただきまぁーす』

むぐむぐと食べるあやを見ながら俺も団子を一本頬ばった


すると後ろから

「旦那、だいぶ惚れ込んでやすね」

「…うっせ…そんなんじゃねーってのくそじじぃ」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ