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□水色の初恋
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ーガタンッ!!

思わず椅子から立ち上がる。寝ていたのかと疑う先生に虫がいたと言い訳をして、椅子に座りながら窓の外の、ボールがあったとされる方向を見る。

そこには、予想通り。

ーーーー黒子君が居た。

『(うっわあ……!居た…!)』

水色の髪の影が薄い彼は、色々と空いてるところに行きながら、こぼれ球を拾ったりしていた。
時々汗を拭い、ボールを拾い、仲間にパスをする。
その度に相手チームはビックリしてて、あ、今影薄くしてるんだなってわかる。

……けど、私には何故かハッキリ見える。あれか?一度視界に入れると見える様になってるのか?
そうだよね?さっきまで見つけられなかったもん。
あ、また火神が1点入れた。アイツコエェ。凄いけど。

まぁ火神より今は黒子君が………

あれ?なんでこんなに興味持ってんだ?
………影薄いから?

とりあえず気になる理由を脳の片隅に追いやり、もう一度黒子君に視線を戻すと、丁度顔の汗を拭っているところだった。



ーーーーどくん。


………ん?
え、なになになになにいきなり心臓おかしくなった?めっちゃどくどくいってますけど?え?

なんか顔も熱い気がするどうした私!!あばばばばばば!!!

え、これ黒子君見てからだよね!?見えない様にしてるのを見ちゃったからなんか副作用みたいな!?え!?

頭の中がメリーゴーランドみたいにぐるぐる回る。なんなのだろうか、と冷静に考えようとしても考えられない。何故だろう。それの答えも勿論出ない。

というかもしも副作用みたいなものだったらもう一度見たら終わるんじゃないの?けどそれならもしかして逆に何でこんな状態に私がなってるのかがわかるかもしれないじゃないか?

頭を抱えて悩む私に隣の男子が大丈夫かと声を掛けてくれた。うんダメだわ。


ぐあああと声を小さく漏らしながら考えていたら、先生がいいタイミングなのか悪いタイミングでなのか言葉を発した。


「やらないで後悔するより、やって後悔しなさい」


その寂しい頭のどこに説得力があるのかわからないけど、今回ばかりは何故か納得した。後で30秒間髪の毛が増えるように祈っておこう。

という訳で意を決して窓の外を見る。あれなんでこんなに緊張するんだ訳わかんないだれか教えれ大丈夫だガラスが一枚あるじゃないかひっひっふー!!

ゴクリと息を飲み込んで、窓をバッと見たその時。



ーーー少し遠くにいる黒子君と目が合ったのだ。

そして、私にゆっくりと微笑んだのである。


思考が緊急停止する。ドキドキが止まらない。顔が燃える様に熱い。何で?え?考えれば考える程頭がくらくらしてきた。ガターン!!椅子が倒れる音が響く。誰の椅子?私の椅子。ああ私は倒れたのかそうかそうか。教室がザワザワし出す。

ーもういいや。

私は熱を帯びた瞼を閉じた。先生が保健室に運んでくれませんように。


教室に意識がある時

最後に香った香りは爽やかな水色だった。




水色の初恋

((後程それを友達に話したところ))
((それは恋だと言われ、))
((ーーもう一度ぶっ倒れたのは言うまでもない。))
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