羊の寝室

□プロローグ?
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―どうしてこうなった。


『はあ!?お姉ちゃん今なんて言った?』

「え、えっと…パパが再婚するって…」

『ど、どういうこと?再婚?…待て、一旦落ち着こう』

まず、私は、今さっき学校から帰ってきた。
自分の部屋に行くと姉が真剣な表情で話しかけてきた。
どうしたのかと聞くと、私達の父―日向麟太郎が再婚するそうなのだ。
そして冒頭に戻る。

「…葵?どうしたの、急にだまっちゃって」

『あ、ごめんちょっと思考がどっか行ってた』

姉が心配そうに私を見る。

『あー、それで?父さんが、なんだって?』

「うん、パパが再婚するらしいの」

『…おー。相手の女性は?』

「仕事で知り合ったらしいんだけど…まだ詳しいことは何も」

私達の父は冒険家で、たまにTVに出てるのを見るから結構有名な人…なんだと思う。
父は職業柄、あまり家にいなかったから正直よくわからない。
父がいない間は姉が世話をしてくれていたから不自由はしなかったけど。

『…そっか。お姉ちゃんは再婚のこと、どう思う?』

そう、一番はそこなのだ。父だって、母が亡くなってからもう十五年も経つんだし、私としては新しい人を好きになったっていいと思うんだけど…姉はどう思うのだろうか。

「…いいと思うよ。わたしたちのことをずっと男手一つで育ててくれたんだし、パパもそろそろ幸せになって欲しい」

『そっか。そうだよね。それに、私たちにもおかあさんができるわけだし!』

私たちは本当の母のことを知らない。
正確には覚えていない、の方が正しいけれど。
母は私を産んですぐに亡くなってしまったから。
そのことについては寂しいと思うことはあっても泣く程なわけではなかった。
姉はいつもそばにいてくれたし、父も幼い頃は家でよく遊んでくれたから。

でも、それはあくまでも私の話だ。
まだ私も姉も幼い頃、姉は毎晩母を呼びながら泣いていたことを知っている。
姉には私のように母がわりになってくれる姉がいないから、やはり寂しかったのだろう。

だから、今回のことは父はもちろん、姉にとってもいいことだと思う。
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