読み物

□鬼vs.宿敵 地獄大一番
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やあ皆さん紅葉だよ。

どういうワケか、地獄に来てはや一週間が経とうとしてます。



この一週間大変だったよ。

第二補佐官になったとはいえ、地獄のシステムの勉強、体力作り、掃除やら買出しやら雑用といった初歩的なところから鍛え上げられてさ……
その間にも鬼灯さんはあれこれ厳しいこと言ってきて、もしドMに目覚めたらどうしてくれると思ったね。


でも正直ここの暮らしも悪くないと思えるようになってきた。

獄卒さんたちは皆優しいし、なにより、亡者を呵責するのが楽しくて楽しくて……はっはっは。



一つだけ不満があるのが、私の住居が鬼灯さんのお隣の部屋ってこと。


なんなんだアイツは。
頻繁に部屋にやってきては部屋に金魚草とかいうペットを運び入れてきたり、洗濯物を私の部屋にまとめて持ってきて洗えと言わんばかりに放置したり、差し入れのように最中を置いといてくれたと思えば中身は全部わさびだったり……

上司とはいえやっていいことと悪いことがあるだろ!!

もちろん、嫌がらせをされた時は仕返しをしに行きますけどね。(キリッ




さて、私は今その悪魔のような上司と一緒に不喜処地獄に来ています。

鬼灯さんを挟んで、獄卒と一緒に歩く。

「不喜処地獄はどうですか?」

「従業員不足ですねぇ。」


そんな話をしていると、一人の小鬼が鬼灯さんの元へ駆け寄ってくる。

「鬼灯様ァー天国の桃源郷から人材貸し出しの要請が……」

『あれ唐瓜くん?』

「あっ紅葉様!」
『やだなぁ、様つけなくていいのに……』

そう、ここで働くことになってすぐ仲良くなった獄卒が彼だ。
いつも彼とセットでいる茄子くんは今日はいないみたい。


「天国の世話までしてられませんよ。」

呆れた様子で鬼灯さんは答える。
そう、地獄は大忙しで、鬼灯さんは手一杯なのだ。
私もまだ一人前に仕事が出来ないせいで、力になれずにいる。


「どうせあのアホが面倒だからって私に相談でもしろと言ったんでしょう。」

「今さらっとアホって言った?」

「桃源郷ですか……まァ罪人もいないのにヌケヌケと……。ゆったりたっぷりのんびりしてるくせに……。」
「「『…旅行けば楽しい…ホテル三日月…』」

「何でもかんでも私に回してくる。」


そう呟いた鬼灯さんはいつもより二割り増しで不機嫌そうだった。
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