読み物
□シロ、日々勉強
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いつものようにバタバタと走り回る日々。
というか最近仕事がただの雑用になってきたような……
いや、でもただの雑用しかしてないのにさ、結構給料もらっちゃったりして、もうね、ココ天国なんじゃないかと……
≪非常警報!非常警報!≫
『うおおおなんだ!?』ガタガタッ
「うるさいです放送が聞こえない。」
『ぐえ』
≪等活地獄より亡者一名が逃亡。直ちに全獄門を封鎖してください。繰り返します。≫
『ぐっ死ぬ死ぬ死ぬッ!』
首を掴まれて白目を向いていると、警報は余計なことを言い、結果怒りのせいで力が入って爪が首に突き刺さるという地獄を味わった。
「鬼灯様ァァァこの新人がうっかりワンセグを持ち込んで…悪霊サダコが逃げました!!」
獄卒につれてこられたのは小鬼の茄子くん。
友達だし良い子なのは分かっているが、茄子くんのせいで私は首を絞められたのかと思うと、つい手が出てしまった。
結果的に鬼灯さんに金棒で殴られた直後、床によろめくより先に私から膝蹴りを食らって床に転がった。
「新人研修でちゃんと注意したはずですよ!そうでなくても何かするときはホウレンソウ!!」
「も、申し訳ございません……。紅葉ちゃんにまでやられるとは思わなかった。」
『茄子くんのせいで私まで首絞められたからね。それよりワンセグから逃げられるもんなの?』
「いやそれはもうすっごいがんばったみたいです!」
「サダコ…、あの亡者はテレビさえあれば逃げるのです……」
そういって考えこんだ鬼灯さんを私はじーっと見つめる。
ああ、この人見た目は本当に良いんだよなぁ。
閻魔大王をしばきながら仕事もすっげー量こなしてるし、頭の回転は速いし記憶力も良いし……凄い人なんだなとは思う。
「今すぐこの近隣のテレビ画面を全てお札で封印しなさい!そしてこれから私が言うものをここに設置してください!」
『なんでだああああああ!!』
鬼灯さんたちがおっしゃる通りに獄卒たちが準備したもの。
それはブルーレイ内臓52型テレビ。
画素数も凄くて薄型でとってもステキなこの一品!
実は!私のです!!!!!
いや、給料が良かったって言ったじゃん?
テレビを買ったんですよ!
初任給で!涙ぐましいだろ!今までの惨劇を金にしてそれをテレビにしたんだよ!!
その可愛い私のテレビが今サダコをおびき寄せるエサになってます!
『ふざけんなよテメェ!上司なら何しても良いと思ってんのかァア!』
思わずとび蹴りを鬼灯さんに食らわすも、鬼灯さんは片手で受け止めてよろめきもしない。
「いや、この前自慢されたのが妙に腹立ったもので……仕事に役立つんだから良いじゃないですか。」
『よくねーよ!!怨霊が通ったテレビなんて怖いわ!』
「あっじゃあ私がもらいましょうか!」
『死んでもテメェにはやらねえ!!』
そんな攻防を繰り広げている中、サダコの標的はこちらへ。
気付いたときにはこちらに飛び掛っていた。
私も鬼灯さんも受身どころか跳ね返せるので身構えていると、白い犬がどこからかやってきてサダコに噛み付く。
そして犬に追いかけまわされるサダコをゴキブリのようだと見下ろして、後は獄卒たちに処分を頼んだ。
私のテレビを丁重に運ぶように獄卒に頼むと、さっきの攻防を見ていたのか獄卒は縮み上がっていた。
ついでに悪霊を祓えるよう、お札もテレビに貼っておいてもらった。