読み物

□地獄不思議発見
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「肥料を変えるべきか、エサを変えるべきか、それが問題だ。」


『うっわこんなにいたんだ!私の部屋に溢れてる金魚さんたち。』

「ええ、置き場に困りましてね。」
『人の部屋をなんだと思ってるんだ。』
「倉庫?」
『なんだとコラ』


あまりな失礼なもの言いに食って掛かっていると、通りかかった獄卒も凄いと声を上げて、鬼灯さんの金魚草を褒めている。
納得がいかないが、ずっと見てると結構愛着が湧いてくるので、気持ちは分かる気がする。
それと多忙すぎて趣味が転じて本格的になる気持ちも分かる。



時は変わって夕食。

今日は鬼灯さんと一緒に社員食堂でご飯を食べる。
というのも、楽しみにしてる番組があってね。

ご飯を食べながらテレビを見ていると、閻魔大王がシーラカンス丼を持って登場。
私の隣に座って、私達が見ている番組に気付くと、鬼灯さんの部屋のクリスタルヒトシ君を思い出したのか驚いていた。

モンゴルの民族衣装なんてどうするんだろう。
それで鬼灯さんの部屋は物で溢れかえっているんだと納得がいった。


私がぼんやりしている間に話題はエアーズロックへ。

「エアーズロックの中心に旗を立てて「チキンライス」って叫びたい。」
「よしなさい!エアーズ・ロックを旗でつつくなんて…地球のお腹が痛くなっちゃっても知りませんよ!!」
「君チョイチョイお母さんみたいだな!?」


「地球に優しくなさい!!」
「君がワシに優しくない!!!」


いつもの流れに笑いながら、テレビに目を移してオーストラリアを眺める。
あーあ、現世にいたころはオーストラリアとか行こうと思えば行けたのになぁ。

『でもオーストラリア良いとこだよねぇ。綺麗だし自然いっぱいだし。』

「そうなんですよ。それに、コアラめっちゃ抱っこしたい。」


『コアラッ!!?』
「君どっちかっていうとタスマニアデビル手懐ける側だろ!?」
「失敬な!どちらかといえばワラビーとお話したい側ですよ!」
『意外と頭の中シルバニアファミリーだね。』


鬼灯さん動物好きなのか。
まぁ人間より動物に優しい人なのは分かっていたよ、この紅葉様が体当たりで確認済みデス。


「動物を扱った書籍やテレビが好きなんです。鳥獣戯画もリアルタイムで楽しく読んでましたよ。」
「高山寺の御坊による連載だったのかあの国宝……」
『歴史の授業でしか出てこないだろ。』


そういえば鬼灯さんは時々現世へ視察に行っているらしい。
今はまだ無理なんだろうけど、いずれ連れて行って欲しいな。
上野公園の鳩や、上野動物園のハシビロコウの話、聞いてると羨ましくてしょうがない。

大王も微笑ましいのかニコニコ顔でシーラカンスをつつく。
が、突然ハッとした表情を浮かべれば、

「いっいかんいかん!鬼灯くん!ペットは小型にしてよね!」
「は?私は今のところ金魚しか飼っておりませんが……」
『大王がペットみたいなものだしね。』

クスッと笑って言ってあげれば大王はしょんぼりとしつつ、思い出したかのように金魚草の話をする。

「動物なの?植物なの?」
「動植物ですかね?ああ、そういえば一番長寿の金魚が3mを超しまして……愉快ですよ、見ます?」
「愉快な仲間達すでにいた!!じゃあ今年のコンテストはまた君の優勝だろうね。」

『えっコンテストなんてあるの?』


ビックリして聞くと鬼灯さんは頷いた。
そして自分が殿堂入りして審査員までやっていると衝撃の事実を教えてくれた。
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