読み物
□鬼とパンツとカニ
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今日は河原のお掃除です。
事務関係は鬼灯さんお一人でなんとかなるんだってさ。
珍しく私の手が空いたので、唐瓜くんと茄子くんのお手伝いすることに。
「すみません紅葉様、手伝ってもらっちゃって……」
『ううん、いいよいいよこれくらい〜。』
「お、お優しいんですねッ!」
声が裏返っている。
ああ、さてはこの子オトナのお姉さんが好きなタイプだな。
今度ちょっとからかってみよう。
「おに〜のパ〜ンツはい〜いぱ〜んつ〜〜〜♪」
茄子くんはるんるんでホウキを持ちながらウロウロ。
彼は大人なんだよね?
そして突然の発言。
「モラルって大事だなぁ」
ちょっとこの子大丈夫なんだろうか。
何考えてるのか分からない。
可愛いからいいけどさ。
唐瓜くんも困ったように返答をする。
茄子くん曰く、パンツ=モラルらしい。
わかるようなわからないような。
モラルってもうちょっと高次元の話じゃないんだろうか。
と考えているとカニを見つけた茄子くんはテケテケとそちらに向かってしまう。
気移りしすぎだろと唐瓜くんは怒る。
そしてまた話題はパンツへ。
虎皮だのポリエステルだの綿だのと素材についてだったり、女性下着ブランドについてだったり、最終的に行き着いたのは茄子くんが歌っていたパンツの歌の謎。
すると、書類を持って通りかかった鬼灯さんが声をかけてきた。
「あの歌はですね、元々南イタリアのカンツォーネで、日本語詞は後付けなのです。」
『カンツォーネはね、イタリアのポピュラーな音楽を指すんだけど、明るい感じの曲が多いんだよ。フニクリ・フニクラって聞いたことない?』
「「あー!知ってる!」」
ふふん、音楽は実は結構好きなのだ。
地獄に来てからは現代の曲が恋しくてネットで探したりしてるんだよ。
そして鬼灯さんにしっかり掃除するように頼まれる。
茄子くんは三途の川の主を発見し、先ほど見つけたカニが食べられているのを目撃。
私は特に気にすることもなく、黙々とゴミ拾い。