Novel
□snow white
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もう戻れないとわかった。
結婚も認めてくれない。会うことすら認めてくれない。
そのまま2人で家を飛び出して来たものの行く宛もなくふらふらと彷徨っていた。
「さむいね。」
彼女が白い息を吐きながら手を口に当てていた。その仕草ですら愛おしくて、離したくなくなる。
「遠い所…いっちゃおっか」
「いっちゃおっか…」
僕には彼女がいればなんでもよかった。どんな覚悟もできていた。
彼女にその覚悟があるのなら僕は何処へでもいけると思っていた。
ありったけのお金を出していけるところまでの切符を買った。
2人分のあたたかい飲み物も買った。
電車の中でも会話をすることはなく、ただ手を握っていただけだった。