夢の世界へ

□冷たい君〜紅夢〜続編
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あかん…また私の悪い癖が出てきてしまった…。


「一番大事なとこなのにさ、ちゃんと動いてくれな台無しになるやんか!!」

今星組は、ロミオとジュリエットのお稽古の中盤に差し掛かっていた。
人がまばらになった稽古場で、ゆきは紅に、怒鳴り散らされていた。

見かねて、柚希がわって入った。

「まーまーさゆみん♪ゆきがちょっと回り込むの遅かったけどそんな怒らんでも…」

さゆみは、ゆきをにらみ倒して出ていった。

「あの子もいっぱい役して気が立ってるねん許したって」

ポンポンと柚希に肩をたたかれた。


稽古場を出てポツリポツリと歩いていたら、懐かしい人に会った。

「るりかさん!!」

「ゆき久しぶり!」

久しぶりで、話が弾みつい話し込んでしまった。

さんざん話して、るりかさんが先に劇団を後にした。

ゆきも、さぁ出ようかと出口に向かった。

外に出て、あれっ!?と思った。


外には、紅のファンクラブの人が大勢待っていたからだ。

「もしかして…まだ中?」

と入り口で一人言を言っていると、紅のお付きさんが、ばっとこちらに向かってきた。

「えっ!?」

後ろを振り向くとか紅が立っていた。

出が、重なるなんてヤバイと思いそそくさと、行こうとした私の鞄を誰かにぐいっと引っ張られた。
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