夢の世界へ

□恋心〜第4章(真風side)
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ゆきは、クリスマスに一色の街の中にいた。

あの日以来ずっとずっと心配をしてくれているあの人に呼ばれてだった。


「ゆきお待たせ!!」

久し振りに見る優しい笑顔だった。


「さゆみちゃん…」





恋心〜第4章ー






「あれから大丈夫?一人で平気なん!?」

さゆみが、紅茶に砂糖を一粒入れながら心配そうに聞いた。

「大丈夫だよ。絶対平気…」

ゆきが、ケーキを美味しそうに頬張った。

「おいし?」

「うん」

明るく振る舞うゆきを、紅茶を飲みながらじっと見つめた。

「ゆりかが…」

その名前に、ゆきのケーキを食べる手が止まった。

「ゆりかは、元気ないで…」

ゆきは、黙ったままだった。

「ゆき?」

さゆみの方を見てゆきは、ニコッと微笑んだ。

「私が側にいたらゆりかちゃんは、ダメになるの…」

さゆみが、真剣な目でゆきを見詰めた。

「私はゆきが、側に居てくれたら最高なんやけど!?」

一瞬のうちに、ゆきの顔は赤くなった。



こんな時に、ゆりかには悪いと思うけど私には、チャンスやわ…。
ゆきを、取り戻す。
もう一度この腕の中で、抱きたい…。


「さゆみちゃんソロソロ帰ろ」

「あっ…うん。」

街には、灯りが点っていた。

「ゆきは、今どこにすんでるの!?」

「ん?意外にさゆみちゃんの家の近くだよ」

さゆみは、思わず嬉しくなりゆきをいきなり抱き締めた。

「ちょっ!!やめっ」

ゆきは、あわててさゆみの腕からすり抜けた。

「もー抱き締めさせてくれてもいいやん!!」

「やだ」

ゆきは、全然私に見向きもしないけど、チャンスはいっぱいある。

「じゃあここで」

冷たくいい放つゆきに、さゆみは近づいた。

後ずさるゆきを人目が付かない所に、誘導した。

「な、なに…さゆみちゃん?」

さゆみは、何も言わずにゆきに顔を近づけていく。

「やだ…ダメ」

逃げ場のないゆきは、顔をしたに向けて目を閉じた。

「そんな嫌がらへんでも…」

その寂しげなさゆみの声に思わずはっとして、顔を上げた。

その瞬間さゆみに、ゆきは唇を奪われた。

長いキスに、息ができなくなりゆきは、さゆみの胸をとんとん叩いた。

さゆみが、少し唇を離してやるとゆきは、荒い息づかいで思わずさゆみに、体が揺らいでいった。

「ごめん…ゆきやりすぎたかな」


さゆみは、ゆきの荒い呼吸を整えてあげるかのように、背中を擦ってやった。

「か、かえるっ…」

さゆみの顔を見ないままゆきは、さゆみの腕の中からすり抜けていった。
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