Ib~ようこそゲルテナ展へ~

□エスケープ
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「どうしたの?イヴ?」

「この絵に描かれている人、お父さんとお母さんなの…」

ここに来てから不思議なことがたくさん起きているけど、これは少し今までとは違うわね。

「えっ!?この二人がイヴのご両親?言われてみれば、どことなくイヴに似てるわね。」

男性は、黒いスーツを着ていて、女性は、赤いワンピースを着ている。女性の方は、確かにイヴの面影があった。

ここに、二人の絵があるのは、いったいどういうことなの?ゲルテナは絵を描くとき、ほとんどモデルを頼まなかったらしいし、それに、もうなくなっているはず…

「ねえ、ギャリー。お父さんとお母さんはどこにいるの?」

結構気丈な子だと思ったけど、さすがに参ってきてるわね。

「大丈夫よ!きっとこの美術館のどこかにいるわ!捜しましょっ!ね?」

取りあえず、この部屋から出ないといけないわね。この部屋にめぼしいものはないし。

そう思い、部屋から出ようとドアを開けようとしたが、びくともしなかった。アタシの思考が停止しそうになったのと、ほぼ同時に壁を突き破って、あの女達が入ってきた。

「もう!しつこいわね!アタシ達が何をしたっていうのよ!」

アタシは、イヴの手を引き、破られた壁を抜け必死に逃げた。

どれくらい走ったのかしら。気が付けば、もう展示物たちは追いかけて来てはいなかった。

「ここまで、来れば、大丈夫でしょう。ざまぁ、みなさい!」

アタシは、イヴに話しかけようと後ろを振り向くと、イヴはしゃがみこんでいた。

「どうしたの、イヴ?」

イヴからは返事がなく、その場に倒れこんでしまった。

「イヴ!しっかり!イヴ!!」

こんな時どうすればいいの。手持ちは壊れた腕時計にライターぐらいなものしかない。とにかく、近くの部屋に入ったほうがよさそうね。
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