キセキ以外
□涙の香2
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「穂乃香…」
俺の呼びかけに答えてくれない。
「……」
俯きながら
静かに
涙をこぼしていた。
「穂乃香、さっきは怒鳴っちまってすまなかった。」
「……で」
「え?」
「なんで保健室で、あんなことしたんですか。」
「そ、それは…」
「どうせほかの女の子にもやってきたんでしょ。女の子なら、誰でもいいんでしょう。」
「ち、違う!!」
「違わないでしょ!合コンには良く行くし、黄瀬に女の子紹介お願いしてるし、さっきだってナンパしてたじゃないですか!!」
「…見てたのか」
確かにそうだ。
彼女を想うならこんなことするべきじゃなかった。
でも、気がつくのが遅すぎた。
「…私は、森山先輩が好きでした。」
「!!」
「でも、そういう考えを持ってる人を好きになれません。」
「え…」
「森山先輩なんか、大嫌いです。」
そういうと彼女は走り出した。
俺はしばらく固まっていた。
(はっ、追いかけなきゃ!)
俺も走り出した。
次の瞬間。
ドンっ!!
鈍い音が響きわたった。