In a song love…

□05
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『……はあ。』


あの夕食からの
時の流れは早いもので、
4日間ほど日にちは立っていた。

あれからあの気持ちの意味は分からなくて、
もやもやしっぱなしだ。
彼をこの広いホグワーツで見つけても話しかけれる勇気はない。
談話室で見かけるかと思いきや、
全く談話室では見ない。

なぜこんなに彼の事を
目で追っているのか分からない。

あのコーパメントで話しただけの
仲なのに、こんなにも気になるなんておかしいのかもしれない。


リ「ユキ!授業いくよ!」

『あ、うん!でもまだ準備終わってないし先に行ってて!』

リ「わかったわ!ちゃんと来るのよ!」

『はーい!』


リンは部屋を出た。
さて、私もさっさと行かなくては。
準備を適当に済ませて私も部屋を出た。

談話室を通らなくては
寮から出られないため、談話室へと向かう。


『………?』


談話室へと向かうと
誰かの気配を感じた。

この時間帯だ。
あまり人はいないと思ってた。


『………⁉︎』


誰かと思い、談話室を覗くと
視界に入ってきたのは
プラチナブロンドの髪。

彼だ。コーパメントの彼。

今、私をつくづく悩ませている人。
いや、勝手に困っているだけだけど…。
探そうとすると見つからなくて、油断していると出てくる彼。
なぜ自分でも探しているのかは分からないけど、見つけたらやっぱり嬉しい。
………嬉しい理由も分からないけど。


『………あ、れ…?』


そっと彼に近づいてみた。
すると、彼は寝ていた。
談話室のソファに座り、長い足を組んで、
また本をひざに置いて。
この人、寝ることと本を読むのが好きなのかな。

でも、彼の寝顔がまた見れるなんて思いもしなかった。


『……相変わらず、綺麗な寝顔…。』


私もソファに腰を下ろした。
さらさら、キラキラしているプラチナブロンドに私は無意識に手を伸ばしていた。
それを優しくなでると、
私の手にプラチナブロンドがかかる。


『…………ふふっ』

「………」

『……〜♪』


『Girl that should be me
(ねえ、本当は僕の役目だったんだよ)

Driving to your house
(君の家まで車を走らせて)』

『Knocking on your door
(玄関をノックして)

Kissing you on the mouth
(君の口にキスをして)

Holding on your hand
(君の手を握って)

Dancing in the dark
(暗闇の中で踊る)』

『Cos I was the only one who loved you from the start
(それは僕の役目のはずだった
だって誰よりも先に君を好きになったのはこの僕なんだから。)』

『But now when I see you with him
(だけど今、君が選んだのは彼で)

It tears my world apart
(その光景に僕の世界は粉々に砕けていく)』

『Because I’ve been waiting
(だって僕はずっと待っていたんだ)

All this time to finally say it
(満を持して、ついに思いを打ち明ける瞬間を)』

『But now I see your heart’s been taken
(それなのに誰かが君の心を掠め取っていった)

And nothing could be worse
(最悪だよ)』

『Baby I loved you first
(ベイビー、一番に君に恋をしたのは僕だった)

Had my chances
(機会をやり過ごさなければ)』

『Could have been where he is standing
(彼のいる場所に僕がいたのかもしれない)

That’s what hurts the most
(それが何よりも切ない)』

『Girl I get so close but now you’ll never know
(こんなに近くにいるのに
君はいつまでも知らないまま)

Baby I loved you first
(ベイビー、誰よりも先に君に恋をしたのは)』





本当に不思議な気持ち。
この人を見てるとなぜか歌いたくなる。
小さい声で。一言、一言。


「……、」

『!!』


髪の毛を撫でていたせいか、
歌っていたのが聞こえてしまったのか、
彼は眉を動かした。
起きてしまったかもしれない。


『………ぁ、』

「……、ん……ん、?」


やはり起きてしまった。
彼は少し寝ぼけているのか、
辺りをキョロキョロし始めた。

そして、私の方を向いて
キョロキョロしていたのを止めた。


「………ぇ、」

『……あの、これは……』

「……君は、コーパメントの…」

『……は、い。』

「……今、授業中…じゃないのか?」

『…へ?…ああ!!』


やばい。
授業を忘れていた。
時計に目をやると時間は授業が始まってから20分は立っていた。
最悪だ。大遅刻だ。


『……ありえない……』

「……なんの授業だったんだ?」

『…あ、天文学です…』

「……まあ、魔法薬学だけじゃなかっただけでも良かったな。」

『……セブルス…スネイプ。』

「………まあ、そうだが…先生とちゃんと付けろ。我らが寮監だぞ。」

『………』


我らが寮監…。
やっぱり、彼も立派な純血主義者。
セブルス・スネイプはこのホグワーツ、ダンブルドア校長を裏切ったのだから。
今だにあの人は闇の魔法使い達と繋がっているに違いない。


「………どうした?」

『……いえ…』

「そういえば、君……レドナール家の者なんだろう?」

『!!な、なぜそれを…』

「組み分けの時さ。レドナール家の名前が僕の耳に入らないわけがないだろう。なにせ、マルフォイ家とレドナール家は……まあ、あまり仲はよくないらしいしな。」

『……っ、で、ですね…』


なぜか彼にその言葉を言われると
更に辛く感じる。
悲しくなる。胸が痛い。
なんで………どうしたのかな?


「君、名前はユキだろう?」

『……はい。名前も覚えて下さったんですか…』

「まあ…。僕の名前はドラコだ。ドラコ・マルフォイ。」

『…よろしくお願いします。改めて、ユキ・レドナールです。』

「よろしく。」


彼は私に手を差し出した。

これから仲良くもできない相手に握手を求めるなんて…
彼は本当に不思議な人だ。

私はその手をゆっくり握った。
彼はさらにそれを確かめるかのようにギュッと握り返してきた。


『……授業に、行きます。』

ド「は?」

『え?』

ド「今更行かなくてもいいだろう。しかも僕も授業はあったがサボったんだ。」

『な、なんで…』

ド「そんな理由簡単さ。グリフィンドールとの合同授業なんて真っ平ごめんだからな。」

『……あ、なるほど…』


彼もやはりグリフィンドールが苦手みたいだ。
まあ、私もあまり好きじゃないけど。あ、レオは別だけど。


ド「君も、もう遅刻したんだ。今回の授業もサボったらどうだ?」

『………そうします。』


別に遅刻して行って、
怒られるのは別に平気。
でも、彼とこうやって過ごす時間はもう一生やってこないかもしれない。
なぜそう思ったのかは知らない。
今までの私なら
構わず授業に行っていただろう。
ここにも立ち止まらずに。
立ち止まったのはたぶん…

彼だから。

彼だから立ち止まった。
彼と話したくて、彼を見たくて、
あのコーパメントで出会った時から私はこの、ドラコ・マルフォイ先輩を目で探してる。



『………先輩、』


ド「……ん?」


『………先輩は本がお好きなんですね。』


ド「ああ。」


『先輩、寝るのお好きなんですね。』


ド「ああ。」


『先輩の名前、かっこいいです。ドラコって名前。』


ド「僕も気に入っている。父上が付けて下さったからな。」


『本当にいい名前です。わたしの名前も父上が付けて下さったんです。先輩も、お父上を尊敬しているのですね。』


ド「当たり前さ。父上は偉大な魔法使いだ。」



ほらね。私はたぶん
彼に質問をしたら止まらなくなるんだ。
だって、たくさん
いっぱい彼の事を知りたい。

私の頭の中を彼の事で
いっぱいで埋め尽くしたい。



わたし、



『先輩、』



彼に、



ド「なんだ?」



……絶対に、私は…






あなたを、











『……愛しています。』










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