夢見処
□膝枕
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空が茜色になり、カラスの鳴き声が響きわたっていた。名無しさんは任務で外出している宗次郎が帰ってくるのを朝からずっと待っていた。移動時間は縮地を使っているから短いはず。だとすれば甘味処などでお茶をしている可能性が高いと名無しさんは考えている。
『遅い…、まだかなぁ。』
縁側で足をジタバタして、頬を膨らませながら待っている名無しさん。溜息をついた直後、後ろから手が伸びて、名無しさんの目に覆い被さった。
『きゃ!ちょ、ちょっと宗次郎!?』
「あれ?もう気づいちゃったんですか?」
『こんな悪戯してくるの、ここじゃ宗次郎ぐらいだもの』
あははと笑いながら宗次郎は名無しさんの目から手をパッと離す。その名無しさんの表情はムスっとしている。宗次郎は遅くなってすまないと言いながらも、笑顔のままなので説得力のカケラもない。